従業員の引っ越しには、20〜30種類にもおよぶ複雑な手続きが必要となる。また、市場に出回っているサポートパッケージの多くは、柔軟性に欠け、コストもかかる。また、こうした引っ越しサービスを利用できるのは、通常は企業のトップだけで、社員は対象外となっている。しかし、さらに大きな問題が企業に立ちはだかっている。それは、パンデミックによって引き起こされた「大量辞職」(グレート・レジグネーション)だ。従業員は海外に新しいチャンスを求めている。引っ越ししやすい仕組みを提供すれば、彼らを引き留めることができるだろうか?
PerchPeek(パーチピーク)は、このような従業員の引っ越し問題を解決し、企業が従業員の引っ越し要求を受け入れやすくするためのリロケーション(引っ越し)プラットフォームだ。同社がこのたびシリーズAで800万ポンド(約12億5000万円)の資金を調達した。この調達ラウンドは、Stage 2 CapitalとAlbionVCが主導した。
PerchPeekの共同創業者であるPaul Bennett(ポール・ベネット)氏、Ace Vinayak(エース・ビナヤック)博士、Oliver Markham(オリバー・マーカム)氏は、共同声明の中で次のように述べている。「すべてのプロセスを1つのプラットフォームに集約し、利用しやすい価格帯で優れたサポートを提供することで、転勤する従業員の引っ越しを支援するだけでなく、雇用主が高価値の福利厚生を従業員に提供することができます」。
SaaSベースの調達分析プロバイダーであるBeroe(ベロー)によると、世界の従業員引っ越し市場は、引っ越しを行えるようにするためのコストや複雑さが原因で、現在335億ドル(約3兆9000億円)の規模に達している。
PerchPeekによると、同社には世界47カ国(さらなる遠隔地を含む)への従業員の引っ越しをサポートするステップバイステップのアプリがあり、企業の転勤コストを最大70%削減できるとしている。
また、インスタントメッセージで専門家が物件や周辺施設を案内してくれる。
競合他社には、Relocity(リロシティ)やDwellworks(デュエルワークス)(いずれも米国)などがある。しかし、PerchPeekは、顧客体験と広域に置かれた拠点で勝負するつもりだという。同社は2020年1月以降、5000人以上の人の移動を助けたと主張している。クライアントには、Thoughtworks(ソートワークス)、Liberty Global(リバティ・グローバル)、Impala Travel(インパラ・トラベル)、INEOS(イネオス)などがある。
AlbionVCの投資マネージャーであるNadine Torbey(ナディーン・トービー)はいう。「パンデミックは、人々が仕事や生活を選択する方法の変化を加速させました。PerchPeekは、市場を完全に解放し、ますます流動化が進み、グローバル化する人材プールを可能にする、待望のディスラプションなのです」。
画像クレジット:Perchpeek app
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(文:Mike Butcher、翻訳:sako)