従業員全体をいつでも完全に可視化、カスタマーサポートを一元管理するWix Answers

ウェブサイト構築プラットフォームのWixが米国時間8月18日、新会社のWix Answersを公表した。Wix Answersはエンタープライズレベルのカスタマーサポートを提供し、ZendeskやSalesforceの競合となることを目指すという。

Wixの米国事業のゼネラルマネージャーであるJoe Pollaro(ジョー・ポラーロ)氏によれば、Wixは規模の大きいエンタープライズクラスのユーザー向けに事業を拡大してきたが、Wix Answersはもともとそのような大きな戦略に含まれていたわけではないという。実はWix Answersは自社のニーズに応じて作られたプロダクトであり、後になって製品化されてWixから別会社としてスピンアウトしたものだ。

ポラーロ氏は筆者に対し「顧客とのコミュニケーションが重要だからといって何かを作る企業は多くないだろう。自分たちのニーズに合うものがないと思ったら、自分たちで作る。これは我々のDNAだ」と述べた。

既存のプロダクトには何が欠けていたのか。Wixは単にチケットをオープンして問題を解決して次へ進むのではなく、顧客とのコミュニケーションの全体像がわかるものを必要としていたとポラーロ氏は語る。発表の中で同氏は「その後、この新しいプロダクトで1億8000万人の顧客のサポートを管理することに成功したため、これを別のプロダクトとして企業に提供すべきだと認識した」と述べている。

画像クレジット:Wix

Wix AnswersのプロダクトソリューションエキスパートであるCarl Lane(カール・レイン)氏も、プロダクトのデモの際に同じように語った。例えばレイン氏は、このプラットフォームは顧客が働いている会社、その顧客が「VIPユーザー」かどうか、電話やチャット、ウェブサイトのチケット、メールなどあらゆるチャネルで交わされたカスタマーサービスのすべての会話などがわかる「ユーザーの360度ビューだ」と述べた。

Wixの社長兼COOのNir Zohar(ニール・ゾーハー)氏は発表の中で「カスタマーサポート業界を統合化された新しいアプローチに進化させるニーズはある。我々はナレッジを活用し顧客一人ひとりに応じたサポートのスタイルを推進することで、業界標準を変革し向上させる」と述べている。

レイン氏も、このプラットフォームはAIを活用してカスタマーサポート担当者の対応を速くし、チームの成果を上げる方法(カスタマーサポートの記事をもっと使いやすくするなど)を提案すると説明した。

また、Wix Answersのダッシュボードには、(顧客が)利用したチャネルにかかわらず、担当者には一貫したエクスペリエンスが提供されるという。

例えば電話がつながるのを待っている人数が相当数を超えるとフラグが立てられるなどの機能により、ワークフローが改善される可能性がある(おそらく、何人かに会議を抜け出してもらわなくてはならない)。

画像クレジット:Wix Answers

「従業員全体をいつでも完全に可視化できる」とレイン氏は言う。同様に分析についても、同氏は「カスタマーサポートの組織にとって分析は不可欠だ。顧客がチャットの製品をひとつ、メールの製品をひとつ持っている場合、1日の終わりに全員がきちんと対応したかどうかを確認するのは本当に難しい」と述べた。

レイン氏は筆者に、マネージャーはWix Answersを使ってカスタマーサービスのチームメンバーの記録から対応したチケットの合計数を表示することができ、顧客満足度調査の多くは後から入力されると説明した。

Wix Answersをすでに利用している企業には、Getty Images、MyHeritage、Guesty、Viber、Fiverr、Yotpoなどがある。

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画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

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TechCrunch Japan

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