急成長中のトラックシェアFluid Truckが67億円調達、住友商事も出資

Fluid Truck(フルイッドトラック)は商用車を所有したりリースしたりする手間とコストをなくすことを目的とするアプリベースのプラットフォームを構築した。この分野はすでにPenske、Ryder、U-Haulのような企業がマーケットシェアを独占している。

そして現在、Fluid Truckはそこに参戦するための資金を持っている。デンバー拠点の同社は米国時間3月2日、トラックシェアリングプラットフォームを拡大するためにシリーズAラウンドで6300万ドル(約67億円)を調達したと発表した。同プラットフォームはウェブやモバイルのアプリを介して中間・ラストマイルの配達企業がオンデマンドレンタル車両を遠隔から管理するのをサポートする。プライベートエクイティファームのBison Capitalが本ラウンドをリードし、Ingka Investments(Ikeaの親会社Ingka Groupの投資部門)、米州住友商事、Fluid Vehicle Ownersが参加した。

外部から資金調達するのは初となる今回の投資は、創業4年のFluid Truckが急成長している中でのものだ。創業者でCEOのJames Eberhard(ジェームス・エバハルド)氏は、売上高が過去2年で100倍になったとTechCrunchに語った。そうしたタイプの成長は有望のように聞こえるが、同氏はベースラインを明らかにしなかったのでその規模を判断するのは難しい。

2020年から2025年にかけてeコマースはグローバルで年平均成長率9.5%で引き続き拡大する見込みで、アクセスしやすいレンタルトラックの需要は相関的に成長するとみられる。eコマースがFluid Truckのターゲット産業の1つであることは驚きではない。

米国の25マーケットで事業を展開しているFluid TruckはカーシェアリングZipcarの商用版だ。引越し業者やeコマース配達企業はFluid Truckのプラットフォームを使ってトラックをレンタルできる。Fluid Truckの事業所に対するアピールは「購入したりリースしたりする必要はありません」以上のものだ。同プラットフォームでは、配達を行う企業は車両を管理・維持して最終的に売却するためのスタッフを管理するマネジャーを置く必要がなくなる。

トラックの購入や管理を外注したい事業者は、Fluidのサービスネットワーク内の工業団地や小売エリアでレンタル可能な車両を見つけることができる。

「プラットフォームに行き、トラックを借り、わずか数分でトラックに乗ることができます。これは事業者がトラックを増やしたり減らしたりするのを可能にします」とエバハルド氏は話した。「当社のユーザー行動が、必要とする全車両を所有するというものから、Fluidで予備の車両を手に入れる、というものに変わっているのを目の当たりにしています」。

エバハルド氏はそうした種の補充使用が、企業が各トラックを所有せずにFluid Truckのプラットフォームを使う状態に変わることを願っている。

Fluid Truckは予約やレンタルプロセスがスムーズなものになるようにデザインされた同プラットフォームのテクノロジーにより、U-HaulやRyder、その他の小規模事業者が独占しているマーケットで競争力を持つことができると主張する。レンタル店に行って順番を待つというプロセスは遅くて雑だが、Fluid TruckのアプリはバンのレンタルをUber車両を呼ぶのと同じくらい簡単なものにするとエバハルド氏は話す。

「複雑さをすべて取り払い、バーチャル車両を持てるようにしています」とエバハルド氏はTechCrunchに語った。

Fluid Truckの車両は貨物バン、ピックアップトラック、大型ボックストラック、その他さまざまな車両などで構成され、現在数千台があり、間もなく何万台という規模になる。同社はまた、米国で最も多く中型EVレンタル車両を所有していると主張する。同社は車両台数を拡大するために複数のOEMと協業し、台数を増やし続けている。それでも、商用サイドのEVの浸透は緩やかなため、同社が所有する全車両におけるEVの割合はまだ1%にも満たない。

Fluidがトラック分野で圧倒的な存在になることをエバハルド氏は願っている。しかしトラックシェアアプリを展開しているのは同社だけではない。競合相手のGoShareとBungiiも似たようなサービスを提供している。

今回の巨額のラウンドは、デジタルトラックシェアリングにおいてFluidがよく知られた存在になるのに有利に働くかもしれない。そしておそらくさらに重要なことに、同社はIkeaの注意と投資を引きつけている。

「これはIkea小売がラストマイルの配達サービスを顧客に提供できるようにする新たな取り組みであり、環境への負荷を減らしながら顧客との約束を改善し続けます」とIngka InvestmentsのマネジングディレクターKrister Mattsson(クリスター・マットソン)氏は声明で述べた。このコメントから将来Fluidと提携することが予想される。

今回調達した資金でFluidは事業拡大を目指す。チームを増強し、米国で更に数十のマーケットでサービスを展開し、欧州とカナダへの進出も準備する。

Fluid Truckはまた自社のテクノロジー部分にも投資する。ここには車両のサービスやメンテナンスを予測して自動化するための社内テレマティクスプラットフォームが含まれる。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Fluid Truckトラック資金調達

画像クレジット:Fluid Truck

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

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