近年、労働者人口の減少や通年採用などにより、人材採用の世界にも変化が訪れており、担当者は柔軟な採用への対応と効率化を求められている。そんな中で、アナログな採用活動に代わって採用業務をサポートするものとして導入が進んでいるのが「ATS(Applicant Tracking System)」=採用管理システムだ。
複数の求人媒体と自動連動する採用管理システム「HERP ATS」を2018年1月からベータ版として提供してきたHERPは3月18日、同プロダクトを正式にリリースしたと発表。正式リリースに伴い、採用担当者だけでなく、全社で採用に取り組みたい企業向けに機能を強化し、本格的にサービスをスタートした。
HERP ATSは、既存の求人媒体と情報を連携して応募を自動で登録し、一括管理できる採用プラットフォームとして、2018年1月にベータ版が公開された。IT系企業が利用する10以上の求人媒体からの応募情報を自動取得。採用担当者の事務作業を自動化し、より本質的な採用活動に取り組めるようにすることを目的としている。
今回の正式リリースでは、さらに媒体との連携だけでなく、エージェント推薦や社員紹介など、別の経路からの応募情報も集約し、採用候補者の情報を一元管理できるようにした。
また、候補者情報や面接内容は、採用の選考プロセスに関わるメンバーへSlack連携で自動で共有される。また採用成果は職種別にレポートすることも可能。選考の意思決定のスピードアップ、精度の向上や、採用担当者から現場メンバーへの、より本質的なフィードバックが期待できる。
さらに面接スケジュールを登録すると、面接官を務める社内メンバーへ通知が送られる。選考フローをスムーズに管理することができ、採用の進捗もリアルタイムで把握可能。選考プロセスが可視化されることで、採用に関わる現場メンバーが採用に参画しやすくなるという。
これらの拡張機能はいずれも、採用活動を採用担当者だけのものとするのではなく、リファラル採用など、日本の企業でも取り入れられるようになってきた、全社一丸となって社員採用に取り組もう、というトレンドに沿ったものだ。採用担当者に採用業務が集中することを回避し、「現場の社員が自社の採用に積極的に参加しやすい仕組みとなった」とHERPではコメントしている。
HERP ATSは現在、IT系を中心に、導入企業が50社を超えている。導入企業には「CASH」のBANKや「ホテル番付」の空、スキルマッチングのココナラなど、TechCrunchでもおなじみのスタートアップも多く、採用に手間をできるだけかけず効率的に、かつ社員主導型で取り組みたい、というニーズは高かったということだ。
HERPは2017年3月、リクルートとエウレカで採用に携わっていた代表取締役CEOの庄田一郎氏が設立。TechCrunch Tokyo 2018スタートアップバトルではファイナリストとして出場した同社は、人材採用業界版のOpen API、「Open Recruiting API構想」を掲げ、HR Tech各社とのAPI連携も進めている。