家に住んでいると、必ず何かが壊れるもの。そして、誰に連絡すればいいのか、修理費用を負担できるのかを把握するのは難しい。そこで、Puls Technologies(パルス・テクノロジーズ)の出番となる。
Hanaco Venture Capital(ハナコ・ベンチャー・キャピタル)から1500万ドル(約17億円)の出資を受けたPulsは、カリフォルニア州リバモアを拠点とし、モバイルアプリを使ってオンデマンドの住宅修理サービスを提供している。また、冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、オーブンなどの家電製品を対象とした、月額約29ドル(約3300円)からの家電製品保証オプションを開始し、住宅保険市場も狙っている。
Pulsは、予測アルゴリズムを利用して技術者と仕事をマッチングさせることで、手間をかけずにタイムリーに修理を行い、通常は数週間かかるところを1〜2日で完了させることができる。同社は、米国の20都市で7000人以上の審査済みの技術者と連携している。
同社は当初、2015年に携帯電話の修理サービスとしてスタートし、2020年にビジネスモデルを会員制に転換する経営転換を行ったと、PulsのCEOであるGabi Peles(ガビ・ペレス)氏はメールで語っている。
従来の住宅保証サービスに関して顧客から寄せられる年間数千件の苦情を目の当たりにしただけでなく、米国人の61%もが予期せぬ出費として1000ドル(約11万3900円)も確保する経済的余裕がないことを知り、家電保証を狙うことにしたのだそうだ。
「高額な料金、細かい文字、費用のかかる問題の除外、作業員の派遣の遅れなどが、従来の保証プランの限界を表しています。Pulsは、ユーザーがリーズナブルな価格で、ほとんどの家庭用電化製品に対してより多くの保証を得ることを可能にします。また、技術者の体験を向上させ、1日にアクセスできる仕事の量を増やし、アップセルやクロスセルによる収入の機会を提供することで、新規ビジネスを促進するプラットフォームを提供することにも取り組んでいます」とペレス氏は述べている。
以前の経営体制では、Pulsは2018年に遡って5000万ドル(56億9600万円)のラウンドを含む9600万ドル(約109億円)を調達した。今回の1500万ドル(約17億円)は、同社の新たな経営陣のもとでは最初のものだとペレス氏は述べている。
同社は、過去1年間で従業員数を約2倍の60人に増やすなど、過去6カ月間で100%成長した。その中には、世界的な大流行により、人々が家で過ごす時間が長くなったことで、家の修理の必要性が高まったことに関連した需要もあったという。
ペレス氏の説明によると、平均的な冷蔵庫のドアの開閉回数は1日20回だが、家にいる時間が長くなると100回以上になり、ドアの修理依頼が増加するそうだ。
Pulsは、今回の資金調達を機に、40都市以上に拠点を拡大し、2022年末までに従業員を100名以上にする予定だ。
一方、Hanaco Venture Capitalのゼネラルパートナー兼共同設立者であるLior Prosor(リオール・プロソール)氏は、Pulsは、市場規模が大きいだけでなく、何十万もの異なるサービスプロバイダーによって断片化されている米国の住宅修理・メンテナンスサービス市場を狙っているとメールで述べている。
その状況のせいで、技術者と住宅所有者の両方がサービスを受けられずにいる。技術者は自分の仕事を向上させるためのツールを持たず、住宅所有者は精彩を欠いたサービスを受けなくてはいけなくなっているのだと彼は付け加えた。Pulsは、スケジュール管理、価格設定、請求書作成、顧客サービスを行うことで、技術者が顧客に専念できるようにする。
「私たちは、2020年に向けて、会社のオペレーティングモデルの変革をさらに推し進める絶好の機会を得ました。私たちは、Pulsの資産を活用して、インシュアテック市場で最高のホームケア企業を構築できるというガビ氏のビジョンに強い確信を持ちました」とプロソール氏は語る。
「この事業は、持続可能な成長軌道を示す、増加していてエキサイティングな事業指標を牽引している新しい会員制商品や保証商品の導入によって、明らかな転換期にあります。同プラットフォームは、費用対効果が高く、プロジェクトベースの仕事と『クリック& フィックス』サブスクリプションサービスの両方において、製品市場への適合性が証明されており、保証と住宅保険の新商品も期待されています」と付け加えた。
画像クレジット:Andrii Yalanskyi / Getty Images
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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)