文法チェックのGrammarlyが企業向けに表記揺れ防止機能を追加

米国時間6月9日、文法やスタイルの誤りを防ぐツールとして人気のGrammarlyが、有料で利用している企業ユーザー向けにカスタムスタイルガイド機能を公開したと発表した。スタイルガイドとは一般に、企業のコミュニケーションに一貫性を持たせるためのものだ。あるメールには「datacenter」、別のメールには「data center」と書かれているような事態は避けたいはずだ。

Grammarly Businessのゼネラルマネージャーを務めるDorian Stone(ドリアン・ストーン)氏は次のように述べている。「Grammarlyは、あらゆる規模の組織がよりよいコミュニケーションを通じて事業の成功を加速させることに努めている。ビジネスコミュニケーションにおける一貫性は、重要な利害関係者からのブランドに対する信頼と信用を獲得する上で最低限必要なことだ。しかし多様な従業員がさまざまなライティングのプラットフォームを使っている環境で一貫性を維持することは難しい。適切なプロセスを確立しないままにリモートワークをしている企業にとっては、さらに困難だ」。

スタイルガイドを使うと企業は簡単にガイドラインを設定できるので、複数のチーム間で、あるいは全社で、名前や用語を統一できる。AtlassianやZapierといった企業がいち早くこの機能を利用している。

スタイルガイドはGrammarlyの無料ユーザーと有料の個人ユーザーでは利用できないことに注意が必要だ。有料のGrammarly Businessアカウントが必要で、最低3ユーザーから利用でき、費用は1カ月1ユーザーあたり12.5ドル(約1300円)だ。

この市場で長く独占状態だったGrammarlyにとって、新しくなったMicrosoftエディター(未訳記事)はライバルの登場と言える。Microsoftエディターには無料バージョンと有料のMicrosoft 365プラン(あらゆる機能を利用できる)の一部として利用できるバージョンがあり、実はGrammarlyより安い。しかし今のところ、筆者はMicrosoftエディターには魅力を感じていない。というのもWordPressでは動作しないようなので使えないのだ。しかし、この競争はユーザーにとっては良い方向に働くだろう。

2019年後半にGrammarlyは10億ドル(約1070億円)を超える評価額で9000万ドル(約96億2000万円)を調達したと発表し、ユーザー数が2000万人を大きく上回ったことも明らかにした。2000万人のうちどの程度が有料ユーザーは明らかにされていないが、この新しいスタイルガイドのようなツールを備えることで、さらに多くの企業を、そして企業内のさらに多くのユーザーを獲得する可能性がある。

トップ画像:Catherine Falls Commercial / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

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TechCrunch Japan

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