Foxconn(フォックスコン)の特徴が、近々発売される新型電気自動車「Fisker Ocean(フィスカー・オーシャン)」の主要なディテールの1つとなる。
同社はこの電動SUVの量産予定モデルを、米国時間11月17日に開幕したLAオートショーで公開した。
このFisker(フィスカー)初の電気自動車には、Foxconn製の特徴的な17.1インチのスクリーンがダッシュボード中央に搭載されている。このタッチパネルは、縦型の「ポートレート」モードから、横画面の「ハリウッド」モードへと回転可能で、後者は駐車して充電を待つ間に、ドライバーや同乗者が(その名称の元となったように)映画を観たり、ゲームを楽しんだりするためのモードだという。
Fiskerの共同創業者兼CEOであるHenrik Fisker(ヘンリック・フィスカー)氏は、この回転式スクリーン技術の特許を申請したと述べている。
Fiskerはまず2020年に、ラスベガスで毎年開催される「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」で、Oceanのプロトタイプを発表した。市販予定モデルとなった今回は、航続距離や各種トリムレベルとその価格、さらにパッシブ充電用のソーラールーフなどの装備も含め、車両に関するより詳細なスペックが明らかにされた。
Fiskerは4種類のトリム、14色におよぶカラーバリエーションの設定を予定しており、ベースグレードの「Ocean Sport(オーション・スポーツ)」の価格は、補助金・税金別で3万7499ドル(約430万円)となっている。このSportではフロントに搭載した1基のモーターが前輪を駆動し、最高出力は275馬力。CATL社製のリン酸鉄リチウムイオン電池を使用し、1回の充電で250マイル(約402km)の距離を走行できる。
それ以外のトリムは、いずれも車両の前後に2基のモーターを搭載する四輪駆動だが、グレードによって性能に差がつけられている。4万9999ドル(約570万円)の「Ocean Ultra(オーシャン・ウルトラ)」は540馬力で0-60mph(約96.6km/h)加速が3.9秒。そして最上位モデルの「Ocean Extreme(オーシャン・エクストリーム)」とそれに準じたローンチ・エディション(先行発売モデル)の「Ocean One(オーシャン・ワン)」は、どちらも6万8999ドル(約790万円)で550馬力を発揮、0-60mph加速は3.6秒に縮まる。
UltraとExtremおよびOneには、ニッケル・マンガン・コバルト電池を使用したCATL製バッテリーが搭載される。各バッテリーの容量は公開されていないものの、Ultraの推定航続距離は340マイル(約547km)、ExtremとOneは350マイル(約563km)を超えるとのこと。
Fiskerでは現在、2つの車両プログラムに取り組んでいる。ロサンゼルスオートショーで注目を集めたFisker Oceanは、欧州の自動車受託製造会社であるMagna Steyr(マグナ・シュタイヤー)が組み立てを担当し、2022年11月に生産開始が予定されている。2022年後半から欧州および米国で納車が始まり、2023年中には生産能力が月産5000台を超える計画となっている。中国の顧客への納車は2023年に始まる予定だ。
そしてもう1つのプログラムとして、Fiskerは2021年5月に、Foxconnと新しい電気自動車を共同開発・製造する契約を締結。ヘンリック・フィスカー氏によると、両社は「かなり早く」デザインを進めており、現在は、トランクを開ける新しい方法の特許取得やその他の技術革新に取り組むなど、エンジニアリングや技術的な詳細に没頭しているという。おもしろいことに、この自動車製造パートナーシップは、フィスカーが独自のインフォテインメント・ディスプレイの供給を受けるためにFoxconnと話し合ったことから生まれたものだと、ヘンリック・フィスカー氏は17日のTechCrunchによるインタビューで語っている。
「自動車業界が抱えている本当の問題は、車両に搭載されている技術が3年以上も前のものであるということです」と、フィスカー氏はいう。「私たちは、クルマに搭載されているものよりも、携帯電話の方が優れていて、賢くて、速いと常に感じているのですから、これは何かが間違っています」。
同氏はFoxconnとの提携について、その狙いはiPhoneを製造している企業(Foxconn)と同じくらい早く動けるようになることだと語った。
Fiskerは1月にFoxconnとの話し合いを開始し、間もなく契約を締結した。Project PEAR(プロジェクト・ペア)と呼ばれる車両製造の契約が発表されたのは、それからすぐ後のことだ。
画像クレジット:Kirsten Korosec
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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)