Appleの新しいMacBookに関する記事をたくさん読んでる人はすでにご存知と思うが、まだ知らない人も多いようなので、ちょっと書いておこうと思う。
新型機のトラックパッドは、まったく動きません。
‘クリック’すると物理的には‘クリック’感はあるし、音もする(下のアホな写真は、ぼくがその音を聴いているところ)。でもそれは、完全なイリュージョンだ。
下にいくつかの振動モーターがあって、それらがフォースフィードバックの機能を担(にな)っている。フォース(force, 力)と呼ばずに、触覚(haptics)と呼んでいるアプリケーションもある。このフィードバックがあるため、指は正常なトラックパッドの正常なボタンを押したと錯覚する。このフィードバックはラテラルフォースフィールド(lateral force field, LFFs, 横方向の力の場)と呼ばれる現象に依存しており、それによって人間は振動を触感として経験する。そのため、人はクリックできる面や、その深さ(z軸方向)すら感じる。この新しいトラックパッドのForce Touch機能のせいで、これまでよりも深いクリック感を経験し、よりリアルなタップ感を得る。そうやって、リアルな感触があるのにもかかわらず、トラックパッドはまったく動いていないのだから、不気味ですらある。
でも実際にやってみれば、正常なクリックとまったく変わらない、という感想を持つ人がほとんどだろう。実際に押した感触が得られるのだから、それで十分だ。しかもこの方式には、感度を調節できるという利点もある。つまり、クリックをトリガするために必要な圧力を、はっきり分かるぐらい変えられるのだ。筋萎縮症や指が神経痛の人などは、助かるだろう。
本誌のライターCatherine Shuは、“このトラックパッドは反復運動損傷の人にも良さそう。私は手根管症候群(CTS)になって、トラックパッドを親指の側面でタップしてたときがあったけど、そうするとほかの指が痛くなるのよ”、と言った。
LFEsを利用して触覚的なフィードバックを作り出す方法を研究した初期の研究者の一人、Margaret Minskyは、1995年に”Computational haptics : the Sandpaper system for synthesizing texture for a force-feedback display“(フォースフィードバックのディスプレイで触感を合成するシステム)と題する博士論文を書いている。それを読めば、Appleの未来のスクリーン技術がすこしは分かるかもしれない。Minskyは実際に、この方法を使って、触感をシミュレートするディスプレイを作ったのだ。
WSJの今朝の記事では、Appleは将来、iPhoneにもForce Touch技術を導入して、スクリーンが押された圧力を検出する、と言っている。タップの確認や、文脈的クリック、より深い対話モデル、それにホバリングのステートなどが、未来のUIの要素になるのだろう。Appleなら、何が現れたって不思議ではないけどね。その記事はユーザからのフィードバックに言及していないが、ユーザの頭の中も混乱しているのだろうな。相当、複雑な話だから。この巧妙な振動技術のおかげで、MacBookの上の静止したガラスがクリック感を与えてくれるのなら、同じことがiPhoneでできてもおかしくはない。
やがて、触感を与えるステッカーや、ユーザを実際に突っつくFacebookのpokeが、未来のインターネットに氾濫するのかな。
WSJの記事を説明するためにアップデートした。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)