在留資格、いわゆるビザのオンライン申請・管理支援サービス「one visa」(ワンビザ)を提供するone visaは7月29日、行政書士が担当する外国籍の労働者のビザ申請・管理といった入管業務を効率化する「one visa for行政書士」サービスのベータ版を提供開始した。
同社は「世界から国境をなくす」というビジョンのもとで、特定技能ビザを活用した海外人材への学習機会提供やビザ取得、定住支援までを一気通貫で行う海外人材の来日・定住支援サービスを展開している2015年9月設立のスタートアップだ。
入管業務を得意もしくは専門とする行政書士は、新型コロナウイルスの蔓延により海外から来日する外国籍の人材が激減していることから開店休業状態かと思いきや、実は非常に忙しいところもある。日本国内で働く外国籍の人材はこの10年にで9万人から25万人に増加し、コロナ禍によって日本国内で働いている外国籍の人材の国内転職が活発になり、新たに在留資格を取得するケースが増えているためだ。one visaで代表取締役兼CEOを務める岡村アルベルト氏によると「一方で行政書士は、海外から受入れる際の書類作成には慣れているものの、国内での切り替えに慣れてないところもある」と説明する。one visa for行政書士は、新型コロナウイルスの蔓延を狙って開発されたわけではないが、結果的にベストなタイミングでのベータ版サービスの提供となった。
one visa for行政書士では。顧客訪問・メール・電話でのヒアリング・申請情報の管理をクラウド化。これまでは外国籍の人材に聞き取った内容を行政書士がエクセルに入力して必要書類や申請書を作成していた業務を、定型フォーマットで他言語対応の項目選択式の電子申請書を利用者(外国籍の人材)が入力するだけで自動生成可能になる。クラウド化によって、過去の履歴をたどるのが容易なので二度目の申請時の業務時間の大幅に短縮できる。
岡村氏によると「行政書士をはじめとするいわゆる士業(しぎょう)と呼ばれる専門資格職業は、事務所の売り上げ=マンパワーになるケースが多く、一人の行政書士が1カ月に扱える業務は、在留資格の申請・管理では10件程度が限界です。業務量を超える依頼については断るケースも多い」と語る。「人材登用によって業務拡大をするにしても、行政書士は個人事業主が多く、事務所の拡張による賃料や人件費の増加、そもそも依頼件数が倍になる保証がないなどリスクが高い」と続ける。
one visa for 行政書士はまさにこういう悩みを抱える行政書士を支援するサービス。クラウドによる効率化によって、一人の行政書士が扱える業務量を無理なく2倍程度の20件に増やすことを目指している。今回はベータ版として登場するが9月〜10月の正式版のリリースを目指しており、正式版のでは以下の機能が順次追加される計画だ。なお、ベータ版を利用することで、正式リリース時の無料トライアル期間が最大45日間になるキャンペーンも展開中だ。
- 事件簿自動作成
- 申請期限アラート
- 見積書・請求書・領収書作成
- 理由書カスタマイズ
ちなみに既存サービスのone visaは、外国籍人材に対して来日前支援、来日支援、定住支援までを一気通貫で行うもの。来日前支援としては日本語教育や業務知識の教育。来日支援としては「one visa」を利用したビザ取得。定住支援としては、ビザ取得時に収集する情報を基にした信用スコアリングをによって外国籍人材に独自の与信を付与し、クレジットカードの発行や家賃保証など、これまで外国籍人材が個人では利用困難だった金融サービスの提供を目指す。
one visaの料金プランは、申請書類作成機能と申請に必要な添付書類選定機能を使える利用料無料の「フリープラン」のほか、申請タイミング管理や登録情報照合などのサービス、チャットサポートなどが付帯した月額1万9800円の「顧問サポートプラン」がある。
現在、one visaのサービスに含まれる定住支援の第一弾として、セブン銀行と提携。通常は来日後から半年程度かかる国内金融機関の口座開設を、来日のタイミングで開設できるサービスを準備中だ。新型コロナウイルスによる各国間の移動制限が緩和され、外国籍の人材の来日が再び増加すれば、こちらも重宝するサービスになりそうだ。