日本を含むAPAC地区の第2四半期クラウド売上は9400億円以上、トップはアマゾン

APAC(アジア・パシフィック)地区のクラウドインフラ市場は中国のベンダー、中でもAlibaba(アリババ)がリーダーだろうと考えがちだ。しかし調査会社のSynergy Researchが発表した新しい数字をチェックすると、トップはAmazon(アマゾン)で、この地区の第2四半期のクラウド売上総額は90億ドル(約9400億円)以上となっている。

アマゾンがトップでない唯一の地区は中国でここではアリババがトップ、以下にはTencent(テンセント)が2位 、Baidu(バイドゥ)が3位を占める。SynergyのJohn Dinsdale(ジョン・ディンズデール)は「APAC地区他の市場ではアマゾンが強い競争力でリードしているが、中国の市場は独特であり例外だ」とコメントした。

「中国市場は特殊であり地元企業が独占している。しかし中国以外の市場ではグローバル企業と地元企業の間で激しい競争が繰り広げられている。アジア太平洋地区では5つの地区のうち4市場でアマゾンがリードしている」とのことだ。アリババ、テンセントという中国企業以外ではマイクロソフト、グーグル、日本のNTTがアマゾンの後を追っている。

(APAC市場のクラウドインフラサービスのトップ企業 /Synergy Research画像:Synergy Research)

第2四半期のクラウドインフラの世界での売り上げは300億ドル(約3兆1400億円)であるので90億ドル(9425億円)というのはその3分の1に満たない。しかしAPACの前年比で40%の成長を続けている。ただし比較するなら、アマゾンだけで第1四半期の世界の売上は1.13兆円あり、これはアジア太平洋地区のクラウド売上の総額以上だ。

ディンズデール氏は地元ベンダーにも成長の余地があることを認めているものの「クラウド市場は本質的にグローバルであり巨大企業が地域に進出を始めればこれに対抗することは難しい。ことに地元以外の市場に進出しようとすれば大きな困難に突き当たる」とも述べている。

「クラウドサービスはほとんどあらゆる面でグローバルな市場であり、世界でトップクラスの地位を占めねばならないという点がローカル企業にとって困難な課題となる。世界に進出するためには最新のテクノロジー、ブランド力、信頼性、巨大投資に耐えられる資本力、長期的なビジョンなどが必要となる。地元企業にとってこれらは極めて大きな障害となることが考えられる」とディンズデール氏は説明している。

画像:Chris Clor / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

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TechCrunch Japan

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