日本発の米国スタートアップ「ADAWARP」はOculusでテレプレゼンスを実現する

ADAWARP

先月米国サンフランシスコで開催された「TechCrunch Disrupt SF 2015」。イベントの概要は以前にお伝えしたし、そのセッションについてはいくつもの翻訳記事が出ているが、展示ブースの様子についても紹介したい。

今回のDisruptの展示ブースは「Startup Alley」と呼ぶECからエンタメ、不動産にヘルスケア、IoTまで、さまざまな領域のスタートアップが日替わりで出展するブースのほか、日本や台湾、アルゼンチンにブラジルといった国・地域ごとのプロダクトを紹介する「Pavilion Alley」などがあった。例えばJETROが主導した「Japan Pavilion」では、グラッドキューブのサイト解析・A/Bテストツール「Sitest」や、やオフショア開発ネットワークの「セカイラボ」など、約20社の日本発スタートアップの展示を見ることができた。

Disruptにはさまざまなプロダクトが出展していたのだけれども、ひときわ目を引いたのが、イベント会場の一番奥にあったパビリオン「Virtual Reality Pavilion」だ。

このパビリオンに出展するのは、米国のベンチャーキャピタル・Rothenberg Venturesが手がけるVR・AR特化のインキュベーションプログラム「RIVER」の採択企業。そのため、各ブースにはOculus RiftをはじめとしたHMDなんかが並んでいた。Riverは2015年1月からスタートしたプログラムで、日本発のスタートアップもこれまで2社が採択されている。以前TechCrunchでも紹介したFOVEと、今回紹介するADAWARPだ。

ADAWARPが開発するのは、Oculus Riftとゲームコントローラーを使ったロボットによるテレプレゼンス(臨場感のある遠隔地とのコミュニケーション、ざっくり言うと今までよりリアルなビデオ会議システム)装置。専用のソフトを立ち上げたPCと接続されたOculus Riftで見る世界は、ロボットの視野そのもの。首をかしげればロボットも首をかしげるという。さすがにOculusだけでは手足を動かせないため、操作にはゲーム用のコントローラーを使用する。

動画には首や手を自由に動かすクマのぬいぐるみが登場するが、これこそが彼らのプロダクトだ。とはいっても、ADAWARPは別にクマのぬいぐるみを作っているワケではない。Oculusやコントローラーを入力デバイスに使うクラウドサービス、そしてクラウドと連携するロボットのモジュールを開発している。プロダクトはまだ開発中だが、将来的にはOculus以外のハードウェアにも対応していく予定で、すでに複数の国内ハードウェア企業との連携を開始している。

ロボット単体の販売価格は200ドル以下、2016年のクリスマスシーズンにも販売を目指す。テレプレゼンスと聞くとビジネス向けのイメージがあるのだけれど、「遠隔地にいる親子のコミュニケーションをはじめとして、いろいろな利用シーンがあると思う」(ADAWARPの安谷屋樹氏)とのこと。ちなみに安谷屋氏は文部科学省の留学支援制度でシリコンバレーに渡米している最中に起業したのだそうだ。

プロダクトのイメージ

プロダクトのイメージ

DisruptにはADAWARPのように、新しい発想やテクノロジーをもとにしたさまざまなプロダクトが並んでいた。僕たちも日本でそんな新しいプロダクトのお披露目の場を提供したいと考えている。11月17日〜18日に東京・渋谷ヒカリエで開催する「TechCrunch Tokyo 2015」では、スタートアップ・デモ・ブースの出店者を募集中だ。

TechCrunch Tokyo 2015についてはこれまでも何度か紹介したが、昨年実績でのべ1700人以上が参加した日本最大級のスタートアップの祭典だ。スタートアップブースは創業3年未満のスタートアップに限定して提供するブースだ。起業家や投資家のほか、TechCrunch読者や大手企業の新規事業開発担当者など、スタートアップを取り巻くさまざまな関係者に出会うことができるはずだ。ブースは30社限定。興味のあるスタートアップは是非とも出展を検討してもらいたい。

スタートアップ・デモ・ブース申し込みページはこちら
イベント名:TechCrunch Tokyo 2015(ハッシュタグ #tctokyo)
イベント開催日:11月17日(火)、18日(水)
会場:渋谷ヒカリエ(東京都渋谷区渋谷2−21−1)
出展料:5万8320円(税込み。2名分の参加チケットが含まれます)
販売数:30ブース
条件:創業3年以内の企業
主催:AOLオンライン・ジャパン株式会社
問い合わせ先:event@tc-tokyo.jp

sd01

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。