最短60秒で資材発注可能、平均20%のコストダウンを実現するshizaiが1.2億円調達

ECやD2C事業者向けにオリジナルパッケージの制作などを手がけるshizaiは4月5日、第三者割当増資と日本政策金融公庫からの融資を合わせて総額1億2000万円を調達したと発表した。第三者割当増資の引受先は、ANRIグローバル・ブレイン、名称非公開の個人投資家となっている。

shizaiは、数百の資材メーカーや印刷会社などをネットワーク化することで、従来よりも簡単でスピーディーなオリジナルパッケージの発注を可能にした「shizai」を提供している。パッケージ制作の工程をソフトウェアで標準化することにより、従来ではデザインの決定から発注まで数カ月かかることも多かった工程を、最短60秒で完了する。また、中間業者を介さないため、平均して20%のコストダウンを実現した。

shizaiと同様に、資材の購買サービスを手がける企業にダンボールワンがある。2020年11月にはラクスルが資本参加し、TVCMなども積極的に展開するなど、その名を聞いたことがある読者も多いだろう。そのダンボールワンとshizaiとの違いは、資材の発注だけでなく、その前後にあるデザインの提案、倉庫の選定、資材の管理などにおけるサポートを一気通貫で提供している点だ。

「資材を購入すれば、次はその会社にとって最適な倉庫はどこか、どのように資材を管理するのかなど、顧客が抱える課題は多い。shizaiでは資材メーカーだけではなく、複数の倉庫運営業者とも連携しており、資材購買後のオペレーションまで一気通貫でサポートを提供している」とshizai代表取締役の鈴木暢之氏は語る。

また、shizaiは顧客と話し合いながらパッケージのデザインをイチから開発することにも取り組んでいる。EC事業者にとって、商品を包むパッケージは顧客との「最初のリアルな接点」(鈴木氏)であることが多い。その接点において、顧客に対して何かしらの驚きを提供したり、パッケージにプロダクトの理念や細やかな気遣いを反映するのは重要だと鈴木氏は話す。実際、TechCrunch Japan読者のみなさんの中にも、最新のガジェットなどの「開封動画」をワクワクしながら視聴したことがある人も多いのではないだろうか。そこでの「Wow!」はユーザーの心をつかみ、彼らが投稿するコンテンツに乗って広がることで、間接的なプロモーションとして機能する。

このような取り組みで生まれたのが、子どもの成長に合わせたおもちゃの定額制レンタルサービス「Toysub!(トイサブ)」のパッケージだ。Toysub!のパッケージは、目で見て楽しいパッケージデザインであることはもちろん、おもちゃの返送が簡単にできるように返送の手順をわかりやすく箱に記載する、パッケージをおもちゃ箱としてそのまま使えるようにダンボールの強度を高める、子どもが手を切りにくいようにダンボールの端を加工するなどの工夫がなされている。

鈴木氏は、「顧客の要望を取り込んだパッケージデザインの開発は、ある種のR&Dという位置づけで今後も取り組みたい。そうやって生まれたパッケージデザインから、要素を抜き出して標準化することとで、shizaiで発注できるパッケージの種類を増やしていく」と話している。

shizaiは今回調達した資金を利用して、プロダクト開発のための人材採用やマーケティングへの投資を進める予定だ。

shizaiのチームと今回のラウンドで出資した投資家。写真中央が代表の鈴木氏

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TechCrunch Japan

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