さる3月下旬にUberの東南アジア事業を買収したタクシー配車サービスのGrabがフードデリバリー事業にも乗り出した。今日(米国時間5/28)、GrabFoodがスタートした。
このサービスはここしばらくタイなど数カ国でベータ版としてテストされていたが、いよいよGrabの本社があるシンガポールで正式にスタートした。また近くGrabの主要マーケットである東南アジア6カ国で営業を開始する。
Grabが東南アジアでUberの事業を買収した中にはUberEatsも含まれていた。UberEatsの運営を停止する前にマーチャントとユーザーベースはそのままGrabFoodに引き継がれる。
GrabFoodはシンガポールではスタンドアローンのアプリとなるが、オンデマンドでオートバイ・タクシーを提供している諸国ではGrabの配車サービスと一体で提供される。新サービスは既存のDeliveroo、FoodPanda、Go-JekのGoFoodその他がライバルとなる。
GrabFoodはGrabのポイント・システムなどのロイヤルティプログラム、GrabRewardsの一部となる。利用者は代金をキャッシュ、クレジットカード、GrabPayで支払うことができる。配達時間の指定ができること、利用最低額が設けられていないことが大きな特長だ。
前述のようにGrabは3月にUberの東南アジア事業を買収したことを発表しているが、現実の事業移行は難航した。 先月TechCrunchが報じたように、各国の規制、UberからGrabに移管されることになった従業員の不満、Grabが市場を独占することへのユーザーの懸念などがGrabにとっては「成長の痛み」となっている。
とはいえ、Grabは声明で「フードデリバリーへの参入は消費者の日々を生活をインターネットによって結び付けられたエコシステムによってさらに快適なものにする」という戦略において重要な部分を占める」と述べた。
最大のライバルだったUberを排除したことはこの目標を現実的なものにしたかもしれないが、依然として Grabは地域のライバル多数と競争する必要がある。たとえばインドネシアでは市場のリーダーはGoogle、Tencentが支援するGo-Jekだ。同社はベトナム、タイ、シンガポール、フィリピンの市場に近々参入することを確認している。Go-Jekはこの事業拡張に5億ドルを用意している。同社は他国への展開にあたって現地のパートナーを活用するモデルを採用するものとみられ、パートナーがそれぞの国情に合わせてブランドを含めた事業内容を決定していくという。
Grabも手を拱いてはおらず、 Wall Street Journalによれば、100億ドルの会社評価額で新たに10億ドルの資金を調達する。これは昨年7月に日本のSoftBankと中国の滴滴出行から20億ドルの資金を得たときの評価額60億ドルと比べて大幅なアップだ。
一方、Go-Jekも最近Tencent、JD.com、Google、Allianz、Meituan、シンガポールのファンド、GICやTemasekを含む多数の投資家から15億ドルを調達している。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)