機械学習のエキスパートはもちろん機械学習技術に貢献する、しかしプログラミングとは無縁な、世の中のそのほかの分野のエキスパートたちも、逆に、機械学習のモデル構築には役に立つはずだ。
そこでMITから生まれたスタートアップPiensoは、機械学習のモデルの訓練を技術者以外の人にもできるようにして、人材のいない企業などが、さまざまな分野のエキスパートたちが持つ良い知識や情報を利用できるようにしたい、と考えた。
“機械学習のエキスパートでないドメインエキスパート(各分野の専門家)をモデルに埋め込んで彼らの専門知識を利用するにはどうしたらよいか”、これがCEO Birago Jonesの言うPiensoの問題意識だ。
ブルックリンに拠を置く同社は今日(米国時間11/6)、Eniac Ventures率いるシードラウンドにより210万ドルを調達した。参加した投資家は、SoftTech VC, Indicator Ventures, E14 Fundなどだ。同社はこのお金でチームを増員し、また顧客ベースを拡大したい、と考えている。
同社のメインのプロダクトIntelligent Development Environmentは、モデルの構築者と利用者を結びつけるソリューションで、その主要機能であるLensを使って非技術系の人びとが機械学習のアルゴリズムと対話できる。
常時、大量のデータ集合を抱える企業は、機械学習によってそれらの意味や傾向等を取り出すことが可能だが、そのためにさまざまな分野のエキスパートを起用するのはコスト的に難しい。Piensoがねらうのは、このようなhuman-in-the-loop問題を解決することで、求める人間的力(判断やフィードバック)がすでにモデルに反映されている、という状態を作り出す。
Jonesはこう言う: “研究者やアナリストなどの知識労働者に、コンピューターサイエンスや高度な統計学の知識能力がない、というケースの方がむしろ多い。だから、彼らの専門知識を、誰かが機械学習のモデルへ入力しなければならないが、そうすると今度は、ニュアンスやコンテキスト、デテールなどがその過程で失われてしまうことが多い”。…だから、各分野のドメインエキスパート自身に、モデルへの入力をしてもらおう、というのだ。