決済者に直接営業してスピーディーな案件獲得を目指すB2Bマッチング支援のオンリーストーリーが約13億円調達

決裁者とのアポイントメントがなかなか取れない。そんな悩みを解決するB2Bリード獲得支援のオンリーストーリーが、日本郵政キャピタル、Das Capital、DCIベンチャー成長支援 、ユーザべース、HAKUHODO DY FUTURE DESIGN FUND、ユナイテッドから総額約13億円の資金調達を実施した。

現在、営業支援のツールは多く存在する。従来の電話やメールでの営業は決裁権限のない担当者にまでしかアプローチしにくい。オンリーストーリーはKBM(Key person Based Marketing)という独自の考えの下、完全審査制決裁者限定マッチングサービス「ONLYSTORY」を提供する。同サービスでは、従業員数10名以上の企業における決裁者クラスの人間が自身の過去・現在・未来を記事として掲載でき、他者の記事も閲覧可能。有料マッチングサービス「チラCEO」に登録すると直接メッセージを送ることができる。事業カテゴリーや会社の事業規模などから、決裁者を検索することも可能だ。Facebookに似た掲示板機能もあり、投稿に対して気軽にコメントできることから、決裁者同士のコミュニケーションの場にもなっている。現在、登録決裁者は3000人を突破している。

有料プランに切り替えると決裁者にメッセージを送れるようになる(画像クレジット:オンリーストーリー)

ONLYSTORYでは、メッセージ返信率が10%以上と、メール営業の約10〜20倍となっていると同社はいう。決裁されるまで関係する担当者の数が少ない、比較サイトから流入する場合と比べて相見積もりになりにくいといった点から受注率も高い。現在、WeWorkやエンジャパンなど幅広い事業が同サービスを活用している。

またONLYSTORYは2015年からサブスクリプションモデルを導入し、その売上が全体の90%を占めるという。代表の平野哲也氏は「顧客が目標を達成すると解約する恋愛マッチングや人材採用などのサクセスチャーンビジネスと違い、営業は成約が決まった後も半永久的に行われる行為であり、サブスクリプションモデルと相性が良いと考えています。アポ取得から決裁までが早いため、受注までのインサイドセールスの人件費などを考えれば十分ペイする費用感であるというお声もいただいています」という。

新型コロナウイルスの影響でオンライン営業の需要が拡大(画像クレジット:オンリーストーリー)

2012年の創業以来、今回で2度目のエクイティ調達となる。新型コロナウイルス感染拡大の影響で交流会やゴルフ会などが減り、オンライン営業ニーズが強まったことが追い風となったという。人々がオンライン会議に慣れ、自社からの距離を問わず全国各地の相手と商談をするようになり、アプリ利用者が増加。今回の調達を経て、他サービスとのAPI連携や企業情報のクローリングといった機能の開発強化を行っていく予定とのこと。さらにM&A、新規事業の投資先を探すなど、利用者の目的を元に必要な機能の拡充も検討している。

平野氏の周辺には会社を経営する親族が多く、彼らが営業に悩む姿を長年見てきた。多くの経営者にとって、どのように決裁者とアポをとり、スピーディーに案件獲得を行えるかということが大きな課題となっていると知り、創業に至ったという。「社長として何を目指しているかと聞かれるが、利益追及の資本主義、社会貢献性を目指す利他主義の両方を追う、『つよいい(強い+良い)』会社を作りたいと考えている。ONLYSTORY自体も、営業しあうTakerコミュニティではなく、与え合うGiverコミュニティとして育ってきた。企業としても、この度『つよいい』方々に投資いただいたので益々の成長を目指したい」と語った。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:オンリーストーリー資金調達日本

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TechCrunch Japan

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