油井やガス井の遠隔フィールドモニタリングに注力しているAndium(アンディウム)は、OGCI Climate Investments(石油・ガス気候変動イニシアチブ気候投資)が主導した投資ラウンドで、少なからぬ資金を調達した。
世界最大手のエネルギー企業で構成されるOGCIは、世界の温室効果ガス排出量を抑制するためのパリ協定で定められた目標を「支援」するために2014年に設立された。これまでに21のプロジェクトに投資している。
同イニシアチブに加盟する石油メジャー各社は、Citadel Securities(シタデル・セキュリティズ)や、Talis Capital(タリス・キャピタル)の元最高投資責任者であるTom Miglis(トム・ミグリス)氏などの既存の投資家とともに、天然ガスのフレア監視、タンクの遠隔測定、物体検知などの技術を開発している企業のAndiumを支援することになった。
同社は、石油・ガス会社に遠隔地からのリアルタイム情報を、他のソリューションに比べてはるかに低いコストで提供できるとしている。
センサーや監視装置と聞いてもあまり刺激的なテクノロジーとは思えないかもしれないが、温室効果ガス排出の流れを食い止めるために、これほど重要な技術サービスはないだろう。再生可能エネルギーに投資するEnergize(エナジャイズ)のパートナーであるMark Tomasovic(マーク・トマソビッチ)氏は、(筆者に向けて)次のようにツイートしている。「採掘中の石油・ガス井から排出されるメタンの監視と削減に取り組んでいる企業がいくつかあります。米国には100万以上の石油・ガス井があり、メタンは二酸化炭素の28倍もの温室効果があることを考えると、これらのスタートアップ企業はTesla(テスラ)よりも地球の気候変動に影響を与えていると言えるでしょう」。
A few companies are involved in monitoring and reducing methane emissions from producing oil & gas wells
Given that there are over 1M wells in the U.S. and methane is 28x more potent than CO2, these startups have had more of an impact on global climate change than Tesla
— Mark Tomasovic (@MarkTomasovic) April 6, 2021
Jon Shieber
Twitter(ツイッター)ユーザーのみなさん、全般的に言って、温室効果ガスの排出削減に最も影響を与えると思われる気候テクノロジー投資の新しいカテゴリーは何でしょうか(風力・太陽光以外で)?Mark Tomasovic
採掘中の石油・ガス井から排出されるメタンの監視と削減に取り組んでいる企業がいくつかあります。米国には100万以上の石油・ガス井があり、メタンはCO2の28倍もの温室効果があることを考えると、これらのスタートアップ企業はテスラよりも地球の気候変動に影響を与えていると言えるでしょう。
AndiumのCEOであるJory Schwach(ジョリー・シュワッチ)氏は、声明で次のように述べている。「変革のリーダーシップと卓越したオペレーションには、可視性が最も重要であると我々は考えています。当社の遠隔監視技術は、企業が持続可能性の目標を達成するための迅速な道筋を提供するために、特に設計されたものです」。
シュワッチ氏は、太陽電池による全地球測位システムを開発したGlobalRim(グローバルリム)や、オフライン通信サービスのMeshMe(メッシュミー)などの事業を、これまでてがけてきたシリアルアントレプレナーで、当初は物流業界向けの電池式トラッキングシステムの開発を行っていた。
「私は2年間の大半を、長距離トレーラー用のバッテリー駆動のトラッキングソリューションを構築することに費やしました。それによって市場がブローカーに代わって『共有財産』を管理できるようになるからです。ハードウェアの開発には何度も失敗しましたが、本当の価値は、継続的に変わる製品要求の中にあり、それはソフトウェアの変更ではるかに簡単に解決できることに気づきました」と、シュワッチ氏はMedium(ミディアム)出版社のAuthority Magazine(オーソリティ・マガジン)に語っている。「ハードウェアとインフラをクライアントに代わって管理しながら、変化するユースケースに基づいて製品をカスタマイズするためにOSを活用するのであれば、小型デバイス用の新しいタイプのOSを構築することは大きなビジネスになると考えました」。
Andiumの技術は、市販のカメラやマイクに人工知能を重ね合わせて、あらゆる産業資産のリアルタイムなモニタリングを実現する。
「メタンを監視・測定することで生まれる透明性は、排出量の削減に不可欠です」と、OGCI Climate InvestmentsのCEOであるPratima Rangarajan(プラティマ・ランガラジャン)氏は語っている。「Andiumの低コストで革新的なソリューションは、あらゆる規模の事業者がベストプラクティスを採用・実施する障壁を低くするものであり、我々は彼らの成長を支援できることをうれしく思います」。
カテゴリー:EnviroTech
タグ:Andium、温室効果ガス、資金調達、気候変動、メタン、石油
画像クレジット:Getty Images
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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Hirokazu Kusakabe)