米国時間1月21日、法人旅行の予約と管理を支援するソフトウェアツールを提供するTripActionsは、新たに1億5500万ドル(約161億円)の投資調達を発表した。
本ラウンドは以前からの投資家であるAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ、a16z)氏、AdditionそしてColor Genomicsの共同創立者のElad Gil(エラッド・ギル)氏が共同で主導した。今回のシリーズEラウンドでは、TripActionsはポストマネー50億ドル(約5191億円)で評価されていると、同社の広報担当者はメールで述べた。
こうした評価の数字は通常、ほどほどにしか役立たないが、TripActionsの最新ラウンドの場合、普通よりも重みを持つ。
同社はレストランソフトウェアのユニコーンであるToastとともに、新型コロナウイルス(COVID-19)が一部カテゴリのスタートアップに与えた影響のポスターチャイルドのような存在になった。TechCrunchは2020年2月下旬に、Liquidと呼ばれるTripActions製品の、5億ドル(約519億円)の信用供与ローンチを取材した。その1カ月後の2020年3月下旬、TripActionsは旅行市場が凍結したことで数百人のスタッフを解雇した。
2019年半ばに40億ドル(約4153億円)の評価額で2億5000万ドル(約260億円)を調達していた会社にとっては、劇的な運の下降だった。またTripActionsは、旅行市場が特に低迷していた2020年6月に「転換社債型IPOファイナンス」と呼ばれる方法で1億2500万ドル(約130億円)を追加調達している。
しかし今また、投資家は同社の運に賭けており、新たに9桁の資本を提供するだけでなく、さらに大きな評価額を与えている。
レイオフ後1年未満のアップラウンドは驚異的な回復であるため、TechCrunchは法人旅行市場、TripActionsの主要な収入源、大切な出張旅行の回復ペースについて、また新型コロナワクチン接種の開始にともない、企業の社員はどれだけ早く飛行機に戻ってくるのだろうかなどを同社に取材した。
同社の広報担当者によると、法人旅行市場は「今月の時点で20%のレベル」であり、「週単位で」3%から6%の間で回復しているという。この回復ペースが投資家たちに、TripActionsが以前の強さを取り戻すのは時間の問題であると確信させたのかもしれない。
TechCrunchはまたTripActionsに、多くの人が予期しているZoom対応のハイブリッドワークの世界で、今後の法人旅行市場はどのような姿をとっていくのか尋ねた。同社の広報担当者は「すぐに100%ではないかもしれないが」「これから1年以内には」75%にまで回復するだろうと「強く」信じていると述べた。
また、同広報担当者は、より分散された労働人口が実質的には法人旅行を後押しする可能性があると書いている。もしそれが証明されれば、TripActionsはパンデミックが起こらなかった場合よりも、ポストパンデミックの方が強い立場になる可能性がある。市場が一時的に消滅したときに多くの従業員をレイオフすることを余儀なくされたユニコーンにとって、そのような復帰はすばらしいどんでん返しとなるだろう。
ラウンドの話題に戻ると、TripActionsは新たな資金を商品開発への投資に使用する予定だ。同社はTechCrunchへのメールで、ソフトウェア統合を含むポイントを含め最近の機能リリースを強調し、今後も金融に特化したLiquidの開発に取り組み続けることをつけ加えた。
また「分散したチームがより簡単に対面で会うことができるように、出張サイドの機能を構築する」とも述べている。我々の多くが、完全に地理的に1カ所に集中している企業の時代は終わったと予想している中、今回の決定は理に適っている。
TechCrunchは、これまでにレイオフされたスタッフのうち、どのくらい再雇用されたのか、新しい資金は2020年に解雇された従業員の再雇用に使われるのかを尋ねた。返答があり次第、記事を更新する。
いずれにしても、パンデミック前の高値からコロナ禍の谷間を経て、新たに引き上げられた評価額と多額の資金を得た今日に至るまで、TripActionsの過去1年は、将来ケーススタディになることだろう。
カテゴリー:ソフトウェア
タグ:TripActions、旅行、資金調達
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(翻訳:TechCrunch Japan)