注目している2021年の「意外な買収」

2020年の終わりに私は、パンデミック後も価値を失わないために、EdTech(教育テクノロジー)はもっと野心的になるべきだと書いた。ファウンダーたちには講演体験を積むことを考えるよりも、時代遅れなシステムや方法を、新しいITベースのソリューションで置き換えることに力を入れるよう促した。言い換えれば、魅力あるコンテンツを画面に出すだけでなく、画面がどう映り、何を追跡し、何を提供するか革新を起こす必要がある。

2021年に入って数カ月が過ぎ、EdTechスタートアップのイグジット環境では、まさしくそれが起きているように思える。パンデミック下で数十億、数百億ドル(数千億、数兆円)の評価額をつけられていたスタートアップたちが、新たな人材を集め、提供サービスの拡大に努めている。

コーディングのプロになろうとする人たちをブートキャンプ(トレーニングの場)と繋げるプラットフォーム、Career KarmaのファウンダーであるRuben Harris(ルーベン・ハリス)氏は、彼が同僚たちとパンデミックがブートキャンプ市場に与えた影響について話したことをまとめた長大なレポートを公開した

レポートの著者であるJames Gallagher(ジェームズ・ギャラガー)氏は、次のように私に言った。

まず指摘しておくべきなのは、ブートキャンプの可能性はまだフルに発揮されていないということです。たとえば訓練を受ける機会を得られない人々がテック分野で新たなキャリアを積むためのゲートウェイとして、テクノロジーセールスなどのニッチなサービスの試みが登場しています。こういうモデルを大きくするために、新しい会社はベンチャーキャピタルを必要としています。

同氏はさらに、2020年の注目すべき買収として、EdTechのK12がコーディングブートキャンプのGalvanizeを獲得したことを挙げた。「これによってK12は、企業教育やコーディング・ブートキャンプというこれまでと異なる市場に露出される機会を得ました」。

私はこのレポートから2つの兆候を読み取った。ブートキャンプにとっての利害関係者は他のブートキャンプだけではなく(まだそれもあるが)、驚くような提携関係によること。もう1つ、ゲーミングブラットフォームのRoboloxがEdTechのために言語学習ツールを買ったり、フラッシュカードで知られるスタートアップがITチューター・サービスを買うなど、クリエイティブな買収が見られたことだ。

ここまでで読者は、私が「意外な買収」(nonobvious acquisition)を気に入っていることに気づいただろう(なかなかま止まらないこともあるが)。というわけで、EdTechの買収情報を知っている人は、私にSignalまたはTwitterのDMで知らせて欲しい。

関連記事:TikTok買収はマイクロソフトを押しのけオラクル勝利との報道

まとめればこういうことだ。成功するスタートアップのファウンダーは、生来の野心家であり、困難なチャンスを見つけ、自分たちに勝算があると他人を説得する。しかし、野心とはなにかを決める天井はほぼ毎日高くなる。かつて勝利だったものが今や無価値になり、功績が功績であるのはライバルが同じ節目に到達するまでの間だけだ。

買収は、ライバルを手に入れ相乗効果のある人材を引き入れる1つの方法だが、最も重要なのはその次に何が起きるかだ。

本稿はこの後、Clubhouseの競合について、 社内の実験がどうやってフィットネステックの最速成長企業になったのか、および公開市場の冷え込みについて書く。

Clubhouseは数十億ドルの企業価値を生んでも、そこから何も得られないかもしれない

誰もがこぞって「ストーリーズ」について噂していたことを覚えているだろうか?パンデミックのずっと前だ。話題のアプリが消費者はオーディオが大好きだということを発見した後、いくつもの会社が独自のClubhouseを作る計画を発表した。

ここが大切:現時点でClubhouseクローンを作っていないのは誰かの予想を始めるのは簡単だ。我々の予言はすでに始まっているが、冗談はさておき、このクローンブームの高まりは、Clubhouseが収益化以前に資金調達しなくてはならないことを意味するかもしれない(Twitter Spacesが……)。重要な明察の鍵を最初に開けたのがどこのスタートアップなのかは問題ではない。問題はその重要な明察を一番うまく実行したのが誰か、である。

関連記事:
フェイスブックがClubhouseクローンのライブ音声SNS機能を開発中
DiscordがClubhouseのような音声イベント用チャンネルの提供を開始
LinkedInもClubhouse類似機能を開発中
好きな時に楽しめる非同期型音声会話ソーシャルネットワークアプリ「Swell」
Slackはテキストベース以上のプラットフォームになろうとしている、オーディオとビデオ機能追加を検討
Twitterの音声ソーシャルネットワーク機能「Spaces」がClubhouseより先にAndroidで利用可能に
SpotifyもClubhouseに負けじとライブオーディオに参入

画像クレジット:Getty Images

フィットネスの高いユニコーン

フィットネステックのスタートアップ、Tonalが先に新たな資金調達を完了してユニコーンになった。

ここが大切:この新たなステータスは、自宅フィットネスソリューション市場の成長ぶりを如実に表している。そしてTonalのS-1(上場申請書類)はまだないが、我々はTonalのEC-1は持っている。EC-1とはTechCrunchバージョンのS-1であり、企業の奥深い分析である。

画像クレジット:Nigel Sussman

I P … O no

みなさんは、CompassとDeliverooとKalturaよりはよい1週間を過ごしたと思う。3社は公開市場で起こりうるそれぞれの問題を経験した。

何が起きたのか:CompassはIPO株数を減らし価格を下げた。デリバリー会社Deliverooの公開市場デビューは厳しいものとなった。そして期待どおりの評価を得られなかったKalturaはIPOを延期した

その他のニュース:Coinbaseが4月14日に直接上場へ、4月6日に最新の財務情報発表予定

Photo Taken In Arizona, United States

先週のTechCrunch
「ゼロトラストモデル」のおかげでスタートアップ企業もパスワードレスに
米国のiPhoneユーザーは2020年に平均1万5200円をアプリに支出
ポケモンGOのNianticジョン・ハンケ氏がARメガネ画像をちら見せ、AR OSの責任者募集
ザ・ウィークエンドがNFTオークションで未発表曲とアート作品販売を予告

カテゴリー:その他
タグ:教育Clubhouseフィットネス

画像クレジット:alashi / Getty Images

原文へ

(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。