無料の電動自転車シェアサービスのHumanForestが2.5億円調達、北ロンドンでトライアル中

今年6月にロンドンでトライアルを開始したドックレス、共有、広告サポート付きのe-bike(電動自転車)サービスを提供するHumanForest(ヒューマンフォレスト)は、初めて外部資金を調達した。ライドシェアアプリ「Cabify(未訳記事)」の創業者であるJuan de Antonio(ファン・デ・アントニオ)氏とVicente Pascual(ビセンテ・パスカル)氏を含むモビリティ業界の支援者から180万ポンド(約2億5200万円)を調達したのだ。

投資の一環としてCabifyのパスカル氏は、スウェーデンの電気自動車メーカーNEVS(National Electric Vehicle Sweden)のCEOで、元Volvo(ボルボ)の社長であるStefan Tilks(ステファン・ティルクス)氏とともに、HumanForestの取締役に就任した。なお、HumanForestの共同創業者兼CEOのAgustin Guilisasti(アグスティン・ギリサスティ)氏は、Cabifyの元カントリーマネージャーだ。

HumanForestの電動自転車シェアリングサービスは、いまのところロンドンに限定されており、移動自体も北ロンドンのアイリントンとカムデンのわずか2つの地区で終了しなければならないが、規模が拡大するにつれて首都内のほかの地区にも駐車場を拡大することを目指している。

今回調達した資金は、今月末までに電動自転車を1000台に増やすために使われる。同社は1年以内にロンドンに2000台を設置することを目標としている。

電動自転車シェアリングはここ数年で爆発的に普及しており、Uberのようなライドシェアリングの巨人がこのカテゴリーに飛び込んできている。Uberは、eスクーター(電動バイク)のシェアリングサービスを展開するLimeに大規模な投資を行った後(未訳記事)、ヨーロッパで同様のサービスを展開していたJumpの資産を同社に売却した(未訳記事)が、主要な通勤都市におけるサービス格差は急速に新たなライバルを引きつけている。たとえば、Bolt (ボルト)は現在、パリで電動キックボードの販売を進めている

このような状況にもかかわらず、HumanForestは電動自転車のシェアリングモデルを革新する余地はまだあると考えている。同社の最大の特徴は、ロンドンで唯一の「無料」の電動自転車のシェアリングサービスであり、ユーザーに1日20分の無料乗車時間を提供する。無料乗車時間は、HumanForestアプリを介して表示される広告によって実現する。その後の料金は1分あたり0.12ポンド(約17円)だが、同社によるとユーザーはプロモーションやコンテストを通じてさらに無料乗車ぶんを獲得できる可能性があるという。

HumanForestのデジタルマーケティングプラットフォームのパートナー企業は、Whole Foods(ホールフーズ)やRude Health(ルードヘルス)などが入っており、自社のマーケティングメッセージを社会的影響力のある同社の電動自転車に載せることで、利用者に無料の移動時間を提供している。

同社のモデルのもう1つの特徴は法人向けの有料電子自転車サービスだ。ロンドン市民に、新型コロナウイルスが終息した後の時代に公共交通機関に乗り込む必要がない、代替のグリーンな通勤手段を提供する機会を探っている。なおHumanForestの電動自転車は、1回の充電で80kmの走行が可能なバッテリーパックを搭載しており、バッテリーと電動自転車の両方が認定された再生可能エネルギーを使っていることを強調している。

パスカル氏は今回の資金調達について「私はCabifyで10年間HumanForestのチームと一緒に働いていましたが、同社はモビリティ業界の先駆者であると信じています。HumanForestは、3つの点で他社から頭抜けています。具体的には、パートナーシップモデルを通じてユーザーに無料の移動手段を提供し、地球を保護し、社会的影響力を示そうとするパートナー企業にアピールしています。我々はすでにこのモデルの成功を目の当たりにしており、今後の成長に携われることに興奮しています」と語った。

シェアモビリティサービスも新型コロナウイルスへの感染リスクが懸念されるが、バイクや自転車は少なくとも換気不足の心配がない屋外で使われる。またHumanForestのウェブサイトにあるFAQによると、衛生面についてはそれぞれの電動自転車には消毒スプレーが用意されているとのこと。また、乗車前後にハンドルやブレーキハンドルを拭くことを推奨しているほか、手袋の着用も推奨している。

カテゴリー:シェアリングエコノミー

タグ:電動自転車 HumanForest 資金調達

画像クレジット:HumanForest

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(翻訳:TechCrunch Japan)

投稿者:

TechCrunch Japan

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