今スタートアップで注目を集めるキーワードというと、シェアリングエコノミーやIoT、ヘルスケアなどとあわせて、ロジスティクスを挙げる人が多い。CrunchBaseによると、ロジスティクス分野のスタートアップへの投資は、2012年後半から増加しているようなのだけれども、2014年第1四半期には3200万ドルと急増している。
米国では日用品のリアルタイム配送を実現する「Instacart」やCtoC向けの配送サービス「shyp」などの名前を聞くが、国内でもロジスティクス分野のスタートアップが徐々に登場している。その1社がオープンロジだ。同社は10月21日から物流アウトソーシングサービス「オープンロジ」を開始する(サービス開始前の動画インタビューはこちら)。
中小規模のEC事業者や個人までが利用できるロジスティクスのアウトソーシングサービスだ。ユーザーがECで取り扱う商品をサイト上から登録して、同社が提携する物流会社の倉庫に入庫すれば、倉庫にて商品1点1点にバーコードの貼り付けをして管理を実施する。入出庫情報はオンラインで閲覧可能。また商品が売れた際などは、倉庫で梱包の上で配送までを行ってくれる。配送の際には同梱明細書がつき、時間指定も可能。代引きにも対応する。
このサービスの強みは簡略化された商品管理とシンプルな価格設定にある。オープンロジ代表取締役の伊藤秀嗣氏によると、これまでの物流アウトソーシングサービスでは、まずは問い合わせ窓口から連絡すると、事業に関するヒアリングを行った上で見積もりを出して…と最短でも1カ月程度の時間を要するケースがほとんどだそうだ。
また、月額料金や保管料は「一坪いくら」という形で設定しているため、商品点数にかかわらずコストがかかるということも少なくない。そのため、小規模なEC業者や個人が利用することも難しかった。
そこでオープンロジでは、老舗の物流事業者と組み、商品数の少ない中小規模の事業者の商品をとりまとめて管理することで、シンプルな業務フロー、料金設定を実現しているのだという。また最短2日でのサービス利用を実現。さらにはシンプルな管理画面も独自に開発しており、個人でもPCで手軽に入出庫管理できるという。
価格は、入庫料が一律15円、保管料がサイズにより1日0.2円〜10円、配送料が220円〜780円までとなっている。価格面での競合優位性について伊藤氏に尋ねたところ、Mサイズ(商品の縦、横、高さの合計が60cm以内)を関東圏に送る場合、ヤマト運輸の宅急便を利用すると756円。これがオープンロジだと1カ月の保管料や入庫料込みで486円と36%の割引になる。もちろん発送の回数や個数、保管期間にもよるが、オープンロジを利用することで安価かつ作業負荷が下がるというケースは多そうだ。
オープンロジではここ数カ月、ユーザーを限定してテストを行ってきたそうなのだけれども、その反応も上々だそうだ。ネットオークションを手がける個人は、梱包も含めて業者が行うため、落札者からの評価も高いと語っているそう。副業であれば平日に梱包作業なんてできないので、そういった面でも利便性を感じているということだった。
ちなみに伊藤氏は富士山マガジンサービスを創業期から支え、その物流網の構築を手がけてきた人物。「物流は成長分野にも関わらず、アウトソーシング先の体質は変わっていない。そこを効率的に変えられるのではないか」という思いから起業したのだそうだ。