現実店舗の「ショールーム」化のリスクは家電以外のあらゆる量販店に及ぶ―Pacedが詳細レポートを発表

Mobile price check

Madrona Ventrue Groupが支援する位置情報分析を専門とするスタートアップ、Placedがいわゆる「ショールーム化」のトレンドが現実店舗に与える影響を詳細に分析したレポートを発表した。このレポートはショールーム化がeコマース企業、特にAmazonに与えるメリットも分析している。ちなみに、MadronaはAmazonに最初期に投資したことで知られている。

Placedの調査はショールーム化について過去最大かつもっとも詳細なものだ。ショールーム化というのは消費者が興味ある商品を手に取ってチェックするためだけに現実店舗に立ち寄り、購入はオンラインですませてしまうという傾向を指す用語だ。昨年、comScoreのU.S. Internetレポートは回答者の35%がショールーム化に相当する行動を取っていると認めた。またショールーム化の傾向は若い層ほど高く、 25-34歳では55%にも上っていた。

今日(米国時間2/27)発表されたPlacedの調査は、今年1月に全米の1万5000人の調査員から得た10億件のデータをベースにしている。comScoreのmobileLensのモニタ・パネルの方が規模は大きいがPlacedのコア・ビジネスは位置情報分析であり、その面で優位に立っている。Placedのモニタ・パネルからの情報や分析ツールはモバイル・アプリのデベロッパーがユーザーの現実世界での振る舞いを理解し、適切なターゲティングを行う上で大いに役立つだろう。

分析結果によれば、ショールーム化によってもっとも影響を受ける可能性がある企業のトップはWalmartとTargetだという。Amazonの顧客のうち、25.2%がWalmartを利用しており、10.7%がTargetを利用している。この順位を下に辿ると、Walgreensm、CVS、BestBuy、Home Depot、Lowe’s、Sam’s Club、Dollar Tree、Costco、GameStop、RiteAid、Kohl’s、PetSmart、RadioShackなどとなる。もちろんAmazonと顧客が重なってだけではショールーム化が進んでいるかどうかは分からない。この点について下で詳しく紹介する。

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女性Walmartがお好みのようだ。利用者の割合が男性より37%多い。Targetはさらに女性に強く 60.5も多い。Best BuyとGameStopは男性優位だ。

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しかし購入状況をみると、Amazonで過去3ヶ月に100ドル以上購入している顧客は、スーパーマーケットよりもCostco(平均より52%多い)やBJs Wholesale Club(47%多い)、Toys R Us(43%多い)のような大型量販店をよく利用する傾向が見られた。

big spenders

しかしこの調査でもっとも重要な発見は実物店舗への影響の数字だ。Best BuyとTargetはショールーム化の影響を受けるトップで、BestBuyの顧客はショールーム行動を取る率が平均より20%も高く、Targetでは15%高かった。これらのチェーン店が数ヶ月前から「対Amazon価格保証」キャンペーンを開始しているのはおそらく偶然ではないだろう。

しかし影響を受けているのはBest Buyだけではない―Bed, Bath & Beyond、PetSmart、Toy R Us、Searsその他多くの現実店舗がショールーム化によるリスクにさらされている

Walmartも影響を受けているが、ショールーム行動を取る顧客はBest Buyより10%も低いので比較的安全といえる。Targetよりも15%低い。ショールーム行動を取る顧客の割合が高いハイリスク・グループにはPetSmart (位)、Toys R Us(3位)、Best Buy(4位)、Sears(5位)。しかしながら、危険率で1位となったのは、やや意外にもBed, Bath & Beyond〔寝装品、浴室用品〕で、顧客のショールーム行動の割合は平均より27%も高かった。

amazon showroomers

男女比は伝統的なく分のとおりで、男性はBest Buy、The Home Depot〔DIY〕、Lowe’s〔DIY〕の利用が多く、女性はKohl’s〔女性向けアパレル〕、PetSmart〔ペット用品〕、Bed,Bath & Beyond、Marshalls〔アパレル〕、Old Navy〔アパレル〕の利用が多かった。

male vs female chart 2

PlacedはまたAmazon Price Checkアプリを利用しているユーザーの行動を調査している。このアプリは簡単にいえばショールーム行動を容易にするのが目的だ。このアプリのユーザーがもっとも好む現実店舗はT.J.Maxx〔ブランド・ファッション〕だった(注意:これはアプリがこの店舗でもっとも頻繁に使われたことを意味するわけではない。このアプリを利用するユーザーの中でT.J.Maxxがもっとも頻繁に訪問されているということだ)。Costco、OfficeDepot、AT&T Wireless、Toys R Usもこのアプリのユーザーに好まれている。

amazon price check shoppers

レポートにはさらに詳しいデータや分析が掲載されている。全体として大いに興味深い調査だが、欲をいえば、バーコード・スキャン・アプリがどこでどれほど使われているか、また価格チェックアプリの使用がeコマースでの成約率にどれほどの影響を与えるかについても調査、分析が欲しかったところだ。こうした調査は困難だろうが今後の挑戦に期待したい。

一方で、Ipsos MediaCTとIABによる最近の調査は、ショールーム行動は現実店舗での売上増をもたらしているとしている。価格チェックアプリのユーザーは42%がオンラインで購入するが、現実店舗で」購入するユーザーも 30%存在するというのだ。現実店舗の経営者は消費者がこうしたオンラインでの価格チェックを行うことを前提とsちた上で競争力のある価格と対面販売ならではの優れたサービスを提供していくことがもっとも賢明な道だろう。

写真、図版:トップはFourthsource; 他はPlaced

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+