多くのサービスがひしめくプログラミング学習市場に、また新たに1社が加わった。ITエンジニア向け転職サービス「paiza」を提供するギノは2015年2月16日、「paiza 動画ラーニング β版」の提供を開始した。当初対応する言語はPHPで、今後Ruby、Python、Java、JavaScriptやSQLなどその他の言語もサポートしていく予定だ。
paiza 動画ラーニング β版にログインすると、大きく4つに分割した画面が表示される。左上には、1回3分程度の学習用動画コンテンツが再生され、その下には補足説明やヒントが表示される。それを参照しながら右側に表示されるプログラミングエリアにコードを書くと、そのままWebブラウザ上で実行され、結果を確認できる仕組みだ。加えて、演習問題も用意されており、学習した内容が本当に身に付いたかを確認できる。どうしても分からないところ、詰まってしまったところがあれば、オンラインでアドバイザーに質問することも可能だ。
ギノは昨年末に、複数のプログラミング言語をWebブラウザ上で実行できるサービス「paiza.io」の提供を開始している。PHPやJava、Rubyなど24種類の言語を手軽に実行できる環境を提供するものだが、そのインフラがpaiza 動画ラーニング β版にも使われており、ブラウザ上で書いたコードをすぐに実行できるようになっている。
「初心者にとってプログラミングを始める際のハードルとなっているのが環境構築。そこに何日も費やし、つまずいてしまうのはもったいない。とにかく自分が書いたコードが動くと面白いんだ、という楽しさをまず味わってほしい」と、ギノの代表取締役社長、片山良平氏は述べている。
エンジニア不足を背景に、Codecademyやドットインストール、スクーなど、動画を用いたプログラミングサービスは活況を呈しているが、「動画」と「実行環境」「演習」という3つの領域を全てカバーしていることが特徴だと片山氏。実行環境が揃っているという意味では東大生2人組が起業したことで知られる「Progate」もあるが、Progateがスライドであるのに対し、paizaは動画という違いがある。
もう1つの特徴は「出口」、つまり就職を見据えた内容を用意していること。ギノはもともと「日本のITエンジニアの地位を向上させたい」という狙いで、スキルチェックを組み合わせたプログラミング転職サイト「paiza」を提供してきた。そこで得られたノウハウが、paiza 動画ラーニング β版のカリキュラムに生かされているという。「趣味のプログラミングに終わらず、開発現場で役に立つスキルを身につけ、そのスキルを生かせるような出口を用意していきたい」(片山氏)。
日本のIT業界ではまだまだエンジニア不足が指摘されている。「そもそも、エンジニアを育てるための教師自体も不足している」と片山氏。paiza 動画ラーニング β版では、「ある程度スキルを身につけた先輩エンジニアが、クラウドソーシング的に初心者へのアドバイザーを務めるような形でスケールしていければ」という。
paiza 動画ラーニング β版の料金は基本的に無料だが、中級以降の一部動画は課金コンテンツ(100円)とする。今後1年間で10万ユーザー、500講座の開設を目標にしていくという。