産業向けドローンサービスなどを提供し、空飛ぶクルマとドローンで「世界No.1」を目指すTerra Drone(テラドローン)は3月23日、シリーズBラウンドとして、総額80億円の資金調達を発表した。
引受先は、新規投資家の三井物産、SBIインベストメント、東急不動産HD、九州電力送配電、西華産業の5社、既存投資家のベンチャーラボインベストメント。また、国土交通省傘下の官民ファンドである海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)より、特別目的会社を通じ同社の関係会社Unifly N.V.(ユニフライ)への共同出資枠を確保。JOINにとって、エアモビリティ含む航空インフラ領域スタートアップへの初出資という。
2016年3月設立のTerra Droneは、東京本社含め全国に拠点を構え、海外においても欧州・東南アジアを中心に事業展開する産業用ドローンソリューションプロバイダーだ。「空から、世界を進化させる」をミッションに掲げ、世界各地域でドローンや空飛ぶクルマなどのエアモビリティにおけるハードウェア、ソフトウェア、サービスと、事業横断的な開発およびソリューションを提供。
またエアモビリティを用いて、石油ガス、化学、建設業界などにおける現場作業のデジタル化や、遠隔地・被災地における物流の効率化など多岐にわたる産業のDX化を進め、人力の限界である非効率・危険な作業の解消を進めている。
ドローンや空飛ぶクルマの社会実装において基盤となる、エアモビリティの運航管理分野では、世界で国家レベル含む導入数1位というUniflyの筆頭株主となり、世界8カ国にわたる「空の運航管理プラットフォーム」を構築。国内では、JAXAより一部技術移転を行い、ドローンや空飛ぶクルマの運航管理の実証実験を重ねているという。加えて、大阪府の公募に対し、三井物産、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)、朝日航洋と共同で「エアモビリティ統合運航管理プラットフォーム事業」に事業採択されている。
エアモビリティの世界市場は、2040年には160兆円規模への成長が予測されている。日本国内でも、2022年度level4(ドローンによる有人地帯における目視外飛行)解禁を迎える予定だ。創業から4期目で黒字化し、CAGR87%(5年平均)、売上営業利益ベースで毎年増収増益と、堅調な事業成長を続ける同社。事業の次期フェーズとしては、多種多様なエアモビリティの安全性や効率性が不可欠となり、エアモビリティ同士の衝突回避や、住民保護のための交差点・ 信号機の役割を果たす「空のプラットフォーム」(空域および運航管理システム)の整備が急務と考える。今回の調達により、「空のプラットフォーム」運航管理技術の開発、各事業成長資金、同活動を実現するための採用活動への投資を行うという。