Spotのような巨大ロボットは、物を運んだり、見世物としてはすごいかも知れないが、それらと同じ高度な技術が、小さなロボットにも使われている。ペンシルベニア大学のこの超ミニドローンは、中でも世界最小のひとつだ。
そのPiccolissimoという名前は、イタリア語で最小を意味し、また作者Matt Piccoliの名前にも由来している。空を飛ぶロボットとして必ずしも世界最小ではないが、動力内蔵でコントロールできる空飛ぶロボットとしては世界最小そうだ。ほかのもっと小さいのは、操縦ができなかったり(例: Robobee)、電力を外部から供給したりする。
幅は25セント硬貨ぐら(直径24.26ミリ)で、可動部品は二つしかない。それでも、今月初めに見たballbotよりは一つ多い。ひとつはプロペラ、もうひとつは3Dプリントで作られた本体だ。両者が、異なる速度で回転する。プロペラはわずかに中心を外れていて、本体は毎秒40回回転し、それにより垂直方向の推力を均等化するが、その回転速度をちょっと変えることによって、方向を変える。制御信号はすべて、単一の赤外線ビームで送られる。
今できることは、ホバリングのみだが、新たな機能を加えるのは容易だ。
大学のニューズリリースでPiccoliは説明している: “本体が回転する乗り物は人間にとっては恐怖でも、センサーを搭載するにはとても適している。空港のレーダーに見られるように、センサーを回転させて利用することは、よく行われている。われわれの場合は、わざわざセンサーだけを回転させなくても、本体と一緒に回転する。だからバーコードリーダーのようなラインスキャンカメラへの応用もありうるし、また車に載せたら360度の写真やビデオが撮れる”。
追加する装置は、重量1グラム未満ならOKだ。それが、この超ミニ機の最大積載量だ。
超小型で超単純なデバイスを作る理由は、たくさんある。単純は往々にして効率と安価を意味し、ときには使い捨て可をも意味する。消費者製品だけでなく、産業用の可能性もある。たとえば放射能漏れや建物の被害調査に、いきなり、1台100万ドルもする人型ロボットを使うのは意思決定だけでもたいへんだが、それは高価なだけでなく、本物の人間と同じく、放射能や粉塵やそのほかの障害物に弱い。
でも、100基のPiccolissimosを編隊としてコントロールしながら飛ばせば、そのカメラや放射能探知器や加速度計が、一定範囲を素早く安価に偵察するだろう。そして、もしも彼らが生還しなかったら、また100基プリントすればよい。