空中水平発射のVirgin VOX Spaceが米宇宙軍の契約獲得、最終テストへ

Virginグループの政府機関向け宇宙企業、VOX Spaceは米国が新設した宇宙軍から契約を得るという重要な成果を挙げたと発表した。米国時間4月10日の発表によれば、同社は実際の打ち上げを向けて最終テストに進むという。

米宇宙軍との契約は総額3500万ドル(約38億円)で3回の衛星打ち上げのためのものだ。 プログラムS28と呼ばれる米国防省の低軌道を周回するテクノロジー実証衛星のための打ち上げを行う。衛星総数は36基が予定されており、「宇宙における識別と通信の進歩を図り、宇宙軍の将来の発展の基礎を構築する」ものとなるという。

米宇宙軍および英国政府イスラエル政府向けの同種の打ち上げはスケジュールとして必ずしも差し迫ったものではない。VOXはまだテスト段階にあり、衛星打ち上げは2021年となる予定だ(詳細についてさらに取材中なので新たな情報が得られればアップデートしたい)。

Virginグループの宇宙企業、VOX SpaceVirgin Orbitは、他の衛星企業とは異なり、ロケットをボーイング747に吊り下げて上空に運ぶ。この発射方式はまだ実証されていないが、地上施設としては発射台を必要とせず747が離陸できる滑走路さえあればよい。打ち上げスケジュールの柔軟性、迅速性に優れている有望なテクノロジーだ。

長年にわたる開発とテストの後、Cosmic Girl(発射母機)とLauncherOne(ロケット)はほぼすべての準備を完了させた。

Voxは極低温搭載吊り下げ飛行という最後のリハーサルを計画している。 この飛行ではロケットのタンクに極低温の液体酸素が搭載されるなどほぼすべてが実際の打ち上げ時と同様となる。エンジンに点火し実際に衛星を打ち上げるテストは2020年後半に予定されている。

もちろん世界的な新型コロナウイルス(COVID-19)の流行は、Vox Spaceにも影響を与えている。同社は、次のテストの準備が完了したことを発表するブログ記事でこの点についても説明している。

他のビジネス同様、Vox Spaceの計画も大幅に混乱させられており、スケジュールには未定部分が多くなっている。しかしVOXの最終テストと最初の商用打ち上げの具体的なスケジュールも近く発表されるはずだ。

画像クレジット:Virgin Orbit

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。