空飛ぶタクシーは長距離ではガソリンや電気自動車より効率がいい?

空飛ぶ車問を響きはは間違いなくクールだが、実際に良いアイデアなのかどうかは議論のあるところだ。うれしいことに、どうやら確実なご利益がありそうだ。期待するのは効率の改善(理論上かつ長距離で)だ。

空の旅には膨大な量のエネルギーが必要で、それは非常に重いものを空中に持ち上げ、長時間維持しなければならないからだ。重力が重労働を引き受けてくれる陸路と比べて、スピードは速くても効率が良いことはめったにない。

ただし、ひとたび一定の高度まで機体を持ち上げれば、摩擦が少ないので高速航行できるし、100フィート進むのも50マイル進むのにも離陸は1回だけだ。そこでミシガン大学の研究者たちは、空飛ぶ車の方が実際に省エネになるスイートスポットがあるかもしれないと考えた。結果は、それらしきものが見つかった。チームは今日のNature Communicationsで結果を発表する。

同大学の技術者たちは、陸上輸送と電動垂直離着陸機(VTOL)それぞれの効率モデルを、関連航空会社の仕様に基づいて作成した。

Lift Aircraft’s Hexa may be your first multirotor drone ride

「我々のモデルはVTOL分野一般のトレンドを表すものであり、複数の研究と航空機デザインのパラメータを使用して、重量、揚抗比、バッテリーエネルギー比などを決定した」と論文共著者のNoah Furbush氏がミシガン大学のプレスリリースで語った。

彼らは、これらの理論上の乗り物が、さまざまな人数を載せ、さまざまな距離を航行したときの性能を調べ、エネルギー消費を比較した。

誰もが想像できるように、飛行は1~2マイルの移動には実用的ではなく、それは上空までいくのに全エネルギーを費やしすぐに降りてくるからだ。しかし、100kmを境に状況は変わってくる。

100kmを移動する場合、乗客1名の空飛ぶ車はガソリン車よりエネルギー消費が35%少なかったが、電気自動車より28%多かった。実際、空飛ぶ車は40kmあたりからガソリンより良くなり始める。しかし、EVの効率には近づいたものの追いつくことはなかった。グラフが見たいって?

ICEV:内燃機関車両 VTOL:垂直離着陸機 BEV:バッテリー駆動電気自動車 縦軸は二酸化炭素排出量

良い結果を出すために、彼らは少々数字をいじって、空飛ぶタクシーはパイロットと乗客3人の満席で飛ぶ可能性が高いと仮定し、一方陸上走行車は平均乗車人数1.5人という設定になっている。それを考慮すると、乗客3名を100 km移動したとき、1人あたりの効率はEVをわずかに上回ることがわかった。

ずいぶんと際どい勝利ではあるが、空飛ぶ車は移動時間がわずか1/4で、渋滞その他の問題にも影響されないことを忘れてはならない。しかも景色がいい。

もちろん、すべては理論上の話だが、こうした研究は、このビジネスへの参入を考えている企業がサービスの運用、販売を考えるうえで役に立つ。現実は理論とは少し違ってみえるだろうが、私は空飛ぶ車に関してはどんな現実も受け入れるつもりだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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