米トイザらスのウェブサイトが再開、オンライン販売は小売大手Targetが担当

Toys “R” Us(トイザらス)が、小売大手Target(ターゲット)との新たな提携を得てオンラインに戻ってきた。トイザらスが経営破綻した後に買収し親会社となったTru Kidsは、米国全土での実店舗オープンの第一歩としてToysRUs.comのウェブサイトを再開したと発表した。復活に向けた戦略の一環で、トイザらスのウェブサイトの製品ページから購入しようとするとTarget.comにリダイレクトされるようになっている。

両社は契約条件を明らかにしていないが、売上に関しては双方にメリットのあるシナリオになっていることは明らかだ。トイザらスは、今でもトップランクの知名度を誇るドメインであるtoysrus.comからすぐにキャッシュフローを得られる。一方のターゲットは、トイザらスの経営破綻と再開を知らずにToysRUs.comを訪れた買い物客が流入して新たな売上が増える。

トイザらスの新しいウェブサイトは、オンラインの買い物客をターゲットにリダイレクトするだけではない。最新のおもちゃのトレンド、人気ブランドに関する記事やビデオのほか、詳細な製品レビュー、おもちゃの人気リスト、ブランドごとのページなどがトイザらス自体のサイトに掲載されている。購入しようとしたときだけ、顧客はターゲットにリダイレクトされて手続きをすることになる。

トイザらスのサイトの購入ボタンには、ターゲットのサイトで購入するということが明確に書かれているので混乱することはない。ターゲットのブランド色である赤と白のボタンで「buy now at [target].com」と書かれているのだが、[target]の部分は文字列ではなく、ターゲットのロゴのアイコンになっている。

トイザらスからターゲットにリダイレクトされて購入する場合でも、ターゲットから直接購入するのと同じメリットがある。配送や店舗受け取りで注文できるほか、Target Circleのポイントが貯まるし、ターゲットのREDcardで支払うと5%割引になる。

両社の新しい提携関係は、従来型のオンラインショップで製品を購入する顧客をリダイレクトするだけではない。

トイザらスが今秋、テキサス州ヒューストンとニュージャージー州パラマスに体験型店舗をオープンする際に、ターゲットがオンライン販売のフルフィルメントも担当する。

Tru Kidsは今年7月に、技術系スタートアップのb8ta(ベータ)と提携し、STEAM(Science、Technology、Engineering、Art、Mathematicsの頭文字。科学、技術、エンジニアリング、アート、数学の教育のこと)ワークショップや子供が中に入って遊べるツリーハウス、映画やゲームのシアターを備え、ブランドがインタラクティブに製品を展開できる、最新型の店舗を作ると発表していた。

新たにオープンする店舗では、購入したい製品が店舗にない場合にその場で注文すると、Target.comで処理される。

ターゲットのマーチャンダイジング担当シニアバイスプレジデントのNikhil Nayar(ニキル・ナヤ)氏は「おもちゃ、デジタル、フルフィルメントにおけるターゲットのリーダーシップは、トイザらスにとって最高のプラットフォームだ。トイザらスのファンを再び呼び戻し、ターゲットで簡単で便利に購入してもらうことができる。トイザらスの新しい展開にターゲットの利点を生かすことで、我々はおもちゃを購入する人にもっと貢献でき、新たな成長を加速して、おもちゃにおけるリーダーシップを確立できる」と述べている。

ここ数週間で、ターゲットはトイザらスのほかにもおもちゃ関連で注目すべき提携を発表していた。8月末にターゲットは、同社の店舗内にミニディズニーストアを開設し、おもちゃ、アパレル、コレクターズアイテム、生活雑貨などを販売することでディズニーと合意したと発表していた。すでに25のディズニー「ショップ・イン・ショップ」がオープンし、2020年にはさらに数十のショップがオープンする予定だ。

以前のトイザらスの役員で現在はTru KidsのCEOのRichard Barry(リチャード・バリー)氏はターゲットとの提携について「我々の米国での戦略は、体験を重視し、充実したコンテンツを備えたオムニチャネルの方針を通じて、トイザらスブランドを最新の形で蘇らせることだ」と述べている。

同氏は「こうした戦略の基盤には、小売業のリーダーの手助けが必要だ。新しいトイザらスの購入体験は家族が無限におもちゃを発見し、遊び、楽しめるように設計されており、ターゲットはこの体験を支援する理想的な小売業者だ。ターゲットはおもちゃの品揃え、デジタルの強み、短時間配送に優れているので、トイザらスが目指す体験を実現する力になるだろう」と説明している。

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(翻訳:Kaori Koyama)