緊張の票集計週間を経て、Joe Biden(ジョー・バイデン)氏はペンシルベニア州を制し、次期米国大統領選挙の接戦を抜け出した。重要な州で勝利を収め、現職の候補を振り切って当選に必要な選挙人270人以上を獲得した。
バイデン氏はウィスコンシン州、ミシガン州、ペンンシルベニア州など2016年の大統領選でDonald Trump(ドナルド・トランプ)氏が抑えた鍵を握る州を奪還した。トランプ氏は前回に続きフロリダ州とオハイオ州で勝利したが、当選にはつながらなかった。バイデン氏はまた一般投票数でも何百万票もリードした。その多くは郵便によるもので、今回は記録的な数となった。
バイデン政権で副大統領を務めるKamala Harris(カマラ・ハリス)氏は、初の女性、しかも有色人種の副大統領と、多くの点で歴史を作ることになる。同氏はカリフォルニア州選出の上院議員で、同州で司法長官も務め、テック産業が盛んな同州でキャリアを築きあげた。
分断はさておき、2020年の選挙は多くの米国民にとって悪名高いものになりそうだ。誤情報の嵐、拡大された郵便投票システムの運命に対する恐れ、米国において23万人超の命を奪った新型コロナウイルスに代表されるように、近年において最も奇妙な選挙だった。バイデン氏の選挙活動は投票を呼びかけるためにドアをノックして直接顔を合わせる代わりに、車に乗ったまま、そしてデジタルのキャンペーンを展開することを余儀なくされた。
また、そうした状況は完璧な誤情報エコシステムを作りだした。11月4日朝のトランプ大統領の誤った勝利宣言や、いまも続く民主党による投票不正があったという主張などが状況をさらに悪化させた。トランプ大統領は選挙結果を受け入れるつもりはないようだ。しかし最終的には票がものをいい、ジョー・バイデン氏が2021年1月20日から大統領となる。
慣習上の民主主義の規範をはねのけながら大統領の座に居座っても、トランプ大統領の決断は最終的な結果にはほとんど影響しない。今後どのようなことがあろうと、米国は誤情報、政治的緊張そして政治的動機による暴力が溢れかえる新たな、そして前例のない不確実な時代に突入する。
元副大統領の勝利により、4年間のトランプイズムは終焉を迎える。しかしその残響は米国政治のあらゆるところに何十年も残るだろう。そうした中で、ジョー・バイデン氏は政治的領域を超えたありそうもない民主党の連合の影響力を利用する計画で新たな時代を切り開く。上院は、2021年1月に対決するジョージア州の結果まではどちらに転ぶかわからない。
バイデン氏は抜本的な気候変動対策や、より多くの米国人をカバーするヘルスケアの拡大、Medicareのような公的選択肢の提供といった計画を示してきた。しかしそうした壮大な計画のほとんどを実行できるかどうかは、民主党上院によるところが大きくなる。民主、共和いずれの党もテック業界に対する規制を積極的に検討すると予想されていたことから、テック政策がどうなるのかTechCrunchは注目していく。
しかし上院の協力はなくても、新大統領は最も必要とされている点において迅速かつ重大な影響を及ぼすことができるだろう。それは新型コロナウイルスパンデミックだ。このウイルスとの戦いにおける国のプランが欠如し続け、またホワイトハウスが新型コロナを軽視してマスク着用を推奨しなかったこともあり、新型コロナは米国中でコントロール不能な状態になり、多くの死亡者をともなう厳しい冬が待ち構えている。
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(翻訳:Mizoguchi)