米海軍やデルタ航空の「着るロボット」を作る外骨格パワードスーツのSarcosがSPAC合併計画を発表

VCの世界がこのところSPACにとりつかれているのは周知の事実だが、Berkshire-Greyのような特筆すべき例外を除いて、ロボティクスにおいてはこの逆合併手法はこれまで大きな推進力にはなっていなかった。しかし米国時間4月6日朝、ユタ州に本拠を置くSarcos Robotics(サーコス・ロボティクス)は、Rotor Acquisition Corp.との合併によりSPACの時流に飛び乗る計画を発表した。

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この取引により、ロボットエクソスケルトン(外骨格)メーカーと白紙小切手会社の合計企業価値は13億ドル(約1427億円)になる可能性があり、さらに2億8100万ドル(約308億5000万円)のアーンアウトが見込まれる。Sarcosはもちろん、現在、ロボット外骨格のカテゴリーを開拓している数多くの企業の1つだ。James Cameron(ジェームズ・キャメロン)風のヘビーデューティーなデザイン言語以外に、この会社が他社と一線を画している理由は何だろうか?

パートナーシップは常に大きなモチベーションになる。Sarcosは2020年のCESで、かなり大きな提携パートナーを確保していた。Sarcosは同イベントで、デルタ航空の大規模な技術プッシュの中心にあった。

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デルタ航空のCEOであるEd Bastian(エド・バスティアン)氏は、6日の発表の中で次のように述べた。「デルタ航空の従業員は、我々の成功を支える重要な要素です。当社は、より健康で安全なチームのために、労働災害を減らすだけでなく、従業員の多様性を促進し、寿命を向上させることに尽力しています。Sarcosの可能性に対する私の熱意は、(2020年に提携を結んで)以来高まるばかりです。当社はSarcosと緊密に協力して、日常のヒーローをスーパーヒーローに変え、彼らの仕事をこれまで以上に安全で簡単なものにしていきます」。

2020年当時、デルタはSarcosと提携してこのエクソスケルトンをスタッフの間で試験的に導入すると発表した。その際Sarcosは、この技術を使うことにより200ポンド(約90kg)の荷物を最長8時間、着用者を疲れさせることなく持ち上げられると述べている。これは、ウェアラブルロボットに対するSarcosのより産業的なアプローチに沿ったものだ。

2020年末、同社は「Guardian XO」の商品化に向けて4000万ドル(約44億円)の資金調達を発表した。本日のリリースによれば、2022年半ばの時点で同システムを納入し、その次には遠隔操作型の「Guardian XT」を発売する予定だという。

軍事資金がロボット産業の大きな原動力であり続ける中、2020年10月、Sarcosは米海軍から補助金を受け、XOシステムの遠隔操作版を製造することになった。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:Sarcos外骨格SPAC米海軍デルタ航空

画像クレジット:Sarcos Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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