米航空局がRocket Labに打ち上げ再開の許可、ミッション失敗から1カ月足らずで

Rocket Lab(ロケット・ラボ)は、20回目となるElectron(エレクトロン)打ち上げミッションが第2段燃焼中に失敗しペイロードを失った後、早くも米国連邦航空局(FAA)から打ち上げ活動再開の認可を得た。これはRocket Labの安全システム設計に対する信頼の表れであり、異常に遭遇してもすべてが意図した通りに機能したこと、つまり、ミッションが失敗したものの、地上の乗組員や一般の人々、他の軌道上の物体にリスクを与えることなく、安全に行われたことを意味している。

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だからといって、Rocket Labが実際すぐに打ち上げを再開するわけではない。FAAは今回の事故後も既存の打ち上げライセンスが有効であると判断しているが、Rocket Lab自身は原因究明調査を続けていく予定だ。Rocket Labの創業者兼CEOであるPeter Beck(ピーター・ベック)氏は、第2段エンジン停止の原因究明のための継続的な取り組みを「複雑で重層的な故障分析」と称しているが、すでにテストでエラーを再現していることにも言及した。

今後は、一連の出来事を正確に把握し、何が原因で安全装置が自動的に停止したのかを解明することに集中するという。この作業は「数週間以内」に完了する予定で、その時点で活発な飛行活動の再開を進めることになる。

Rocket Labは今回のアップデートで、2020年7月に発生した以前のミッションの失敗については言及していない。その際の異常は最終的に電気的な接続不良によるものと結論づけられたが、第2段エンジンの安全停止という同様の結果になった。

ただし、同社が打ち上げ後に回収したElectronロケットの第1段から得られた情報によると、その部分は計画通りに進行したことが確認されている。Rocket LabではElectronロケットの1段目ブースターの再利用性を高めようとしており、今回は新たに大気圏再突入と着水のプロセステストを実施し、そちらはスムーズに進んだ。また、今回のフライトで使用された新しいヒートシールドは意図した通りに機能したとし、今後は回収した第1段エンジンでエンジン燃焼試験(hot fire test、ホットファイア)を行い、その性能を確認する予定だという。

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カテゴリー:宇宙
タグ:Rocket LabElectron米国連邦航空局(FAA)

画像クレジット:Rocket Lab

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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