米連邦高裁、オーサーズ・ギルドのGoogle Books の著作権侵害の訴えを棄却―「著しく公衆の利益を増進」

政治学者を目指したこともあるライターとして、私はGoogle Booksをほとんど毎日利用している。特定のことがらについて調べる必要があるとき、私は一般の検索よりもむしろGoogle Booksに頼る。

今日(米国時間11/14)、第二地区連邦高裁のDenny Chin判事は「Google Booksは公衆と著者に対して著しい利益を与えている」と述べてAuthor’sGuildによる著作権侵害の訴えを棄却した。[PDF]

Chin判事は「Google Booksは検索された本の特定の部分のみプレビューできるようにしており、その一方で著作物の内容がオンラインで検索できることで公衆と著者に著しい利益を与えるているのであるから、著作権を侵害するものではない」と述べた。

Googleはこれまでに2000万冊以上の本をスキャンしている。著作権侵害の訴えに対応してGoogleはユーザーが全文を表示できないようにしているものの、検索では全文が対象となる(下の画像参照。私がこの本でprivacyという単語を検索したのでそれがハイライトされている)。).

著者の一人として、私はChin判事の意見に全面的に賛成だ。私はこの数ヶ月、プラバシーの歴史について調べているが、Google Booksの検索のおかげで、たとえば「ルネッサンスの建築」というような一見関連がなさそうなテーマを扱う本の中にプライバシーに関する貴重な情報が含まれていることを発見した。

Chin判事は「〔Google Booksによって〕初めて研究者は何百万冊という本の全文を検索できるようになった」と述べている。重要なのは、私はGoogle Booksで発見した本のうちから何冊も購入したり、図書館から借りたりしていることだ。Google Booksは私の調査を驚くほど加速させた。Google Booksがなければ私は膨大な本を1ページずつめくっていかねばならないところだった。

さらに便利なことに、Googleの n-gramビューワーを利用すれば、プライバシーという単語の時系列の出現頻度を見ることができるので、このコンセプトの歴史的推移も概観できる。

「またGoogle Booksはすでに図書館にも収蔵されていないような古書や絶版本を保存し、公衆が利用できるようにしてその生命を新たにしている」とChin判事は述べている。

出版社は忘れられていた本に新たな関心を呼び起こす点でGoogle Booksに感謝すべきだろう。売れ行きに良い影響があるはずだから、私は著者として自分の本がGoogleにスキャンされることを望む。

[Image Credit Flickr User Enokson]

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


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TechCrunch Japan

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