糖尿病患者の足の切断を防ぐスマートソックス開発のSirenが約12.7億円を調達

靴下を履くだけで、糖尿病の人が足を切断せずに済むだろうか?

Sirenは、そう考えている。布製で洗える文字どおりのスマートウェアラブル製品を開発している同社は、最初の製品として靴下をリリースした。これは糖尿病患者の足の健康をモニタして危険な状態を早期に発見する。なお製品開発のために同社は、シリーズBで1180万ドル(約12億7000万円)を調達した。

このラウンドはAnathem Venturesがリードし、KhoslaとDCMおよびFounders Fundが参加した。DCMのJason Krikorian(ジェイソン・クリコリアン)氏が、Sirenの取締役会に入る。彼はSlingboxを作っているSling Mediaの共同創業者だ。

Sirenの共同創業者Ran Ma(ラン・マー)氏によると、糖尿病患者が足などを切断する原因のほとんどは、傷があってそれに長期間気づかなかったことによって起きる。長期の糖尿病は神経を傷め、神経の損傷が足に影響して患者自分が気づかないうちに傷や潰瘍をできる。治療しないと傷は悪化し、細菌に侵され、最悪の場合は切断が必要になる。そのような切断は米国だけ(AJMCのニュースリリース)でも1年に数万件ある。

Sirenのソックスは足の6カ所で体温を測り、気づかなかった傷を見つける。周りよりも相当温度の高い場所が見つかったら、そこは傷による炎症があるかもしれない。ソックスはBluetoothでスマートフォンと接続可能で、専用アプリで患者自身が足の状態をチェックできる。そして最も重要なのは、その情報が医師にも届いて患者の状態をモニターできる点だ。

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの中、感染を恐れて医者や病院へ行かない人が多い。また病院側は、緊急性の低い外来を制限している。足の定期検査も緊急性は低いだろう。しかしSirenのソックスなら、患者の医師が遠くからでも足の健康をモニタできる。

初めてSirenを見かけたのは、2017年にCESで行われたTechCrunch Hardware Battlefieldで同社が優勝したときだ。その後同社は約2200万ドル(約23億7000万円)を調達した。今回の1180万ドル(約12億7000万円)のシリーズBと、その前の非公開だったシリーズAの650万ドル(約7億円)、そして340万ドル(約3億6600万円)のシードラウンド(未訳記事)だ。

マー氏によると、現在Siren Socksは米国の10州で買えるが年内には全米展開になるとのこと。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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