開発発表からおよそ1年越しに発売日が決まった「Xperia PRO」。税込で約25万円という価格設定に驚いた方も多いでしょう。
しかし、単なる高性能スマートフォンを求める層に、ソニーモバイルも「Xperia PRO」を売る気は無いようです。それは「Xperia PRO」が、放送や写真のプロフェッショナルに向けて開発された業務用スマートフォンだからです。スマートフォン単体で使うメリットはほとんど無く、αシリーズなどのレンズ交換式一眼カメラやプロ向けビデオカメラと組み合わせて初めて威力を発揮します。
というのも、「Xperia PRO」はスマートフォンとしては珍しくHDMI端子を搭載します。これをレンズ交換式カメラと接続することで、カメラの外部モニターとして利用できます。「Xperia PRO」のディスプレイは長辺だけ見れば4K(3840 x 1644)解像度で、HDR表示かつBT.2020の広色域に対応しており、高性能なモニター画面として利用できるわけです。
また、YouTuber向けのユースケースとして重要なのが、高速な5Gや4G通信に対応し、かつ汎用なAndroid OSを搭載する点です。これによって、出先で高級ミラーレスカメラ「α9」で撮影中の映像を、「Xperia PRO」経由でYouTubeにリアルタイム配信できます。
プロカメラマン向けのユースケースとしては、プロスポーツ試合の撮影が挙げられます。従来、カメラマンは撮影した写真をハーフタイムにまとめて、雑誌の編集部や新聞社などに伝送していました。しかし「Xperia PRO」と一眼カメラを組み合わせれば、カメラマンは撮ったそばからリアルタイムで写真を納品できるようになります。報道現場においても速報性の向上に威力を発揮します。
こうしたプロ向けの用途では『安定性』が何より大事。Xperia PROでは数時間にわたる映像伝送も安定してこなせるよう、放熱設計を工夫しています。
本体はα7シリーズなどソニーのミラーレスカメラと質感が共通。まるでカメラを持っているような手触りです。また、筐体に金属ではなく樹脂を使うことで、一般的な消費者向けのスマートフォンに比べて5Gの電波をつかみやすくしているほか、デバイスの4つの側面に配置したアンテナにより、「ミリ波」と呼ばれる、5Gの周波数の中でも特に高い周波数の電波もつかみやすくしていると言います。
基本は一眼カメラなどと組み合わせて使う「Xperia PRO」ですが、本体には「Xperia 1 II」と同等仕様のカメラを搭載します。なお、レンズは本体から飛び出しておらず、むしろ引っ込んでいます。これは、レンズに対する外光の影響を抑える意図をもった設計です。
SoCにはクアルコムのSnapdragon 865を採用。その後継となるSnapdrgaon 888が登場した今となっては型落ち感が否めませんが、あえて最新SoCではなく1世代古いSoCを搭載したのは、安定性を重視した結果なのかもしれません。
その他、12GBのRAM、1TBまでのmicorSDXC、512GBのストレージを搭載。防水防塵はIP68等級に対応します。FeliCaは非搭載です。
「Xperia PRO」は日本ではSIMフリーモデルとして展開される予定です。販売は、ソニーのインターネット直販サイト「ソニーストア」に加え、銀座、札幌、名古屋、大阪、福岡天神にある実店舗、さらには一部家電量販店でも購入できます。
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