マイクロバイオームサイエンスを活用した創薬・医療事業を推進するメタジェンセラピューティクス(MGTx。Metagen Therapeutics)は3月17日、第三者割当増資による総額9000万円の資金調達を発表した。引受先はファストトラックイニシアティブおよび慶應イノベーション・イニシアティブが運営するファンド。
マイクロバイオームとは、微生物の集合(微生物叢。びせいぶつそう)、その遺伝情報の全体、微生物叢が存在する環境を含めた言葉。腸内細菌をはじめ人間の体にも共生的に存在しており、健康状態と密接に関連している。細菌(バクテリア)集団の場合は、バクテリオーム(細菌叢)と呼ばれることもある。
MGTxは、腸内細菌叢研究において国内有数の実績を有するチームからなるマイクロバイオームスタートアップで、腸内細菌移植療法(FMT)に用いる製剤を開発している。
現在FMTは、偽膜性腸炎を対象とした先進医療や炎症性腸疾患に対する臨床研究にて実施されているものの、FMT製剤の品質基準設計やそのサプライチェーン構築など、普及に向けた課題が存在するという。
MGTxはグローバルスタンダードに準じた安全なFMT製剤の安定的なサプライチェーンを構築し、国内におけるFMTの普及を促進するとしている。また、腸内細菌叢データを活用することで、マイクロバイオーム創薬へと事業分野を拡大する。
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