自らを「爆弾探知犬」と呼ぶ、暗号資産取引プラットフォーム間不正操作検出ソフトのSolidus Labs

写真左から右へ、前方に座っているのはCTOのPraveen Kumar(プラヴィーン・クマール)氏とCEOのAsaf Meir(アサフ・メイル)氏、立っているのはCOOのChen Arad(チェン・アラド)氏。

自社の監視およびリスクモニタリングソフトウェアが暗号資産取引プラットフォーム間の不正操作を検出できるとするSolidus Labsは2021年5月下旬、シリーズAラウンドで2000万ドル(約21億9660万円)を調達したことを発表した。ちょうどその前週に、米国政府から暗号監視の取り組みを改善する意向があるという種々のシグナルが送られてきたことを考えると、タイミングはかなり良い。例えば、米国財務省はIRSに対する暗号資産コンプライアンスの強化を求めている。

もちろん、Solidusは先週突然生まれたわけではない。同社は2017年、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)の元従業員数人によって設立された。当時、ビットコインは流行り始めたばかりだったが、エンジニアたちがビットコインの多様なユースケースを予想していた一方で、コンプライアンスツールがないことが大手金融機関による導入の障害になることも認識していたため、その開発に着手した。

Solidusは現在、従業員30人、資金調達額は2375万ドル(約26億860万円)で、需要の増加に対応するために人員を倍増しようと計画している。金曜日にTechCrunchは、ニューヨークに拠点を置く同社の協同創設者兼CEOで、ゴールドマンのエンジニア出身であるAsaf Meir(アサフ・メイア)氏に、今回の新しい資金調達ラウンドについて話を聞いた。ラウンドを主導したのはEquity Partnersで、Hanaco Ventures、Avon Ventures、645 Ventures、Exchange FTXの他、元CFTC会長のChris Giancarlo(クリス・ジャンカルロ)氏、元SECコミッショナーのTroy Paredes(トロイ・パレデス)氏など、政府関係者数名が参加している。私たちはまた、増加傾向にある暗号犯罪の種類についても言及した。以下に、その対談の抜粋を紹介しよう。

TechCrunch(以下、TC):どのような顧客をお持ちですか?

アサフ・メイア氏(以下、AM):暗号資産、暗号資産、デジタル資産など呼び方はいくつかありますが、その売買のリスクにさらされている、取引所、ブローカーディーラー、OTCデスク、流動性プロバイダー、規制当局を始め、幅広い関係者と協働しています。

TC:具体的に何を明らかにすると約束していますか?

AM:私たちが検出するのは、主に数量と価格の操作です。それはウォッシュトレーディング、スプーフィング、レイヤリング、ポンプアンドダンプ、および独自の市場にのみ存在する暗号ネイティブ警告の追加ライブラリの増加に関係しています。

2020年に比べてインバウンド需要が400%増加したのは、主に2つの要因によるものだと思います。1つは、規制の精査です。世界的に見て、規制当局は市場参加者に、寛容ではなく許可を求めなければならないと伝えています。2つ目の理由は、この資産クラスのエクスポージャーに対する機関投資家の意欲が急激に高まっていることです。あらゆる機関が、実行プラットフォームについて次のような内容を尋ねます。「リスク軽減ツールはどんなものがあるか?市場の整合性をどのように確保しているか?」。

TC:数カ月前にも話を伺いましたが、シアトルの取引プラットフォームBittrexのように、顧客のパイプラインが増えているとおっしゃっていましたね。需要は主に米国からですか?

AM:アジアやヨーロッパにも需要がありますので、そちらにもオフィスを開設する予定です。

TC:あなたの元雇用主、ゴールドマンも顧客ですか?

AM:それについてコメントすることはできませんが、現時点では、暗号資産へのエクスポージャーをどのように取得するかを考えていない銀行はないと言えます。安全で準拠した堅牢な方法でそれを行うには、暗号専用のソリューションを採用する必要があります。

現時点で新しいフロンティアが存在しています。私たちが現在取り組んでいるクライアントは、暗号資産のみの取引所、ブローカーディーラー、流動性プロバイダー、さらには従来の金融機関で、暗号資産に参入し、暗号化オペレーションや暗号デスクを開設しようとしている企業です。そして、さらに進化する新たなフロンティアが広がっています。NFT、ステーブルコイン、インデックス、レンディングプラットフォーム、分散プロトコルなど、あらゆることを知る神が突然私たちに手を差し伸べ、正しいことをしたいのだと告げてきたかのようです。プラットフォーム上のユーザーが十分に保護されていること、トレーディング活動が監査されていることを確認し、不正操作を防ぐものです。

TC:サブスクリプションサービスはどのように機能していますか?誰が技術を構築していますか?

AM:顧客からの個人的なデータ(顧客のトレーニングデータ)を利用して、それを検知モデルに組み込んでいます。最終的には、顧客がアクセスできるダッシュボード上の洞察と警告を通じて、検知モデルを提示するようにしています。

誰がそれを構築しているのかに関しては、ゴールドマンやMorgan Stanley(モルガン・スタンレー)、Citi(シティ)から多くのフィンテックエンジニアが参加しており、大規模なトレーディングシステムに関する伝統的な知識を持ち込んでいます。また、イスラエル出身のすばらしいデータサイエンティストも揃っており、その専門知識を金融犯罪に応用しています。

TC:その犯罪はどのようなものでしょうか?

AM:立ち上げ当初は、ウォッシュ取引やポンプアンドダンプなど、実行しやすいものを使ったホールセール的な操作が多く行われていました。今日私たちが目にしているのは、悪意のある者が異なる実行プラットフォームを利用することができる非常に洗練された操作スキームです。私たちは文字通り、新しい警告を提示しています。ルールベースのレガシーシステムを使用する場合、何を探しているのかがはっきりしないため、それを表示することはできません。多くの場合、まだ名前が付けられていないという警告が表示されます。このタイプの動作は本質的に操作性が高いと考えられているため、クライアントはそれを調査する必要があります。

TC:その新しい異常について、もう少し詳しく説明していただけますか?

AM:顧客のプライベートデータをどこまで共有できるかについて葛藤しています。しかし、今まさに直面している問題は「急増する」アカウント抽出攻撃です。これは、悪意のある攻撃者がさまざまな方法でアカウントの資金にアクセスし、洗練された手段で取引所、ブローカーディーラー、カストディアンからトレードできるようにするものです。これはソーシャルエンジニアリング関連の異なった方法で起こっていますが、私たちはアカウントの逸脱やプロファイリングを通じて、その回避のために協働している取引所やブローカーディーラー、金融機関に警告することができます。

私たちが問題としているのは検出と未然防止であって、「何がどこで起きたのか」事後に追跡することではありません。そして、そのアカウントについての個人識別可能な情報さえ知っていれば、それを行うことができます。名前やIPアドレスではなく、トレーディングの属性がすべてです。実際、香港で取引所が特定のコインペアを出し入れするようなことがあれば、他の顧客に先手を打って警告することができます。そうすれば、顧客は準備して身を守るための手段を講じることができます。

TC:防止の面で、香港取引所での活動を止めることもできますか?何か異常を検出した場合、クライアントから介入する権限を与えられていますか?

AM:私たちはいわば爆弾探知犬であり、ボットを無効にするつもりはありません。データを入手して不正操作を指摘する方法はわかっていますが、その場合は金融機関に任せます。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Solidus Labs暗号資産資金調達

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(文:Connie Loizos、翻訳:Dragonfly)

投稿者:

TechCrunch Japan

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