不妊治療データ検索サービス「cocoromi」(ココロミ)を手がけるvivola(ビボラ)は4月22日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資による3000万円の資金調達を発表した。引受先は、ANRI、DEEPCORE。またスマートフォンアプリ版cocoromi(Android版・iOS版)の提供開始を明らかにした。
調達した資金は、「アプリの改善・マーケティング費用」「企業への福利厚生導入支援費用」「オンライン診療システムの開発費用」にあてる。
アプリの改善・マーケティング費用では、cocoromiのさらなるユーザビリティ向上に向けた開発や、医師や企業との合同イベント、キャンペーンなどのマーケティング強化費用に利用。また、不妊治療をしている社員を支えるための職場環境の構築を目的に、医師やNPOとともに動画・リーフレットの啓発コンテンツの制作費用として使用する。通院負荷を低減するため、地域医療ネットワークを活かした新しい不妊治療の診療システムの開発費用にも用いるとしている。
今後cocoromiアプリでは、薬の服用アラーム機能や病院情報などユーザーからリクエストがあった機能を順次追加していく予定。より詳細な分析が可能な個別分析レポート(有料)や、オンラインでの医師のセカンドオピニオンなどのサポート機能も提供を予定している。
またユーザーがcocoromiアプリを活用することで、2年間で3万人の体外受精のデータを取得することを目標とし、収集データの分析により、個別最適化された治療プロトコールの提供の一助となる、医療機関向けの同質症例DBの開発へ取り組む。
不妊治療データ検索アプリ「cocoromi」
国内における少子化は加速しており、2020年の出生数は87万人で過去最少となり、深刻度を増している。一方で、子供を産みたくても産めない、不妊治療をしている女性が50万人以上おり、vivolaは早急に解決すべき社会課題と考えているという。
また不妊治療を取り巻く課題として、体外受精1回あたり平均約50万円かかるという費用経済的負担のみならず、「自分に合った情報が得られない」「通院頻度が多く仕事との両立が難しい」「治療の長期化により、経済的・身体的・心理的負担が大きい」などが挙げられるとしている。
そこでvivolaは、まずは「自分に合った情報が得られない」という課題を解決すべく、不妊治療を経て妊娠した人のデータをわかりやすく可視化し、誰もが自分に合った治療情報を得られるようなデータ検索サービス「cocoromi」を開発し、2020年6月よりウェブサイトサービスとして提供。
そして今回のスマートフォン向けアプリでは、通院スケジュール管理や治療ログといった新機能追加やUIUXの改善を行い、正式リリースした。
これによりcocoromiユーザーは、分析データの閲覧に加えて日常的に自分の治療ログを残すことで、より自分に合った治療データ(=同質データ)が表示されるようになる。またユーザーのみならず、不妊治療の患者を担当する医師は、cocoromiを通じて、患者の治療知識の向上により、診療におけるコミュニケーションの円滑化が可能になるとしている。
通院頻度が高い不妊治療について、通院スケジュールや治療ログ管理
cocoromiアプリのカレンダーは、Googleカレンダーとの連携が可能となっており、通院頻度が高い不妊治療の通院スケジュールを管理しやすいという。
毎回の診療内容も、採卵・移植・検査などカテゴリーごとに記録していくと、周期ごとの治療サマリー表示が可能。どのような治療をして、どのようにホルモン値が変化したのかを一覧で振り返ることができる。転院をする際には、このサマリーをコピーして医師に提出することでコミュニケーションが円滑に行えるとしている。
データから不妊治療を徹底分析
過去に不妊治療で妊娠した方の統計データに加えて、女性の年齢やAMH(抗ミュラー管ホルモン)、妊孕性に影響のある疾患(男女)などから同質性を定義し、データべースから自分と似た人の同質データが閲覧可能。このため、マイデータと比較しながら今後の治療計画を立てられる。治療ログを記録するほど、ユーザーと似た人の参考になる同質データを表示しやすくなる。
トークルームや病院検索で必要な情報を収集
不妊治療に関する専門用語や病院による治療方針の違いなど、カテゴリーごとに悩みや疑問を患者同士で共有して情報交換が可能なトークルームを用意。また病院検索では、土日診療や夜間診療などの条件を指定して全国の病院検索が行える。
今後は、セカンドオピニオンやオンライン診療可能な病院検索、病院ごとの治療成績や保有設備などの情報も追加予定。
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