【抄訳】
かつてオープンソースのソフトウェアは大企業が避けて通るものだったが、その後の時の経過とともに、大中小あらゆる企業で使われるようになった。そして今回ご紹介するAutomotive Grade Linux(AGL)は、Linux Foundationの、オープンソースを自動車業界に持ち込もうとするプロジェクトだ。AGLのグループは今日(米国時間1/10、ラスベガスで行われたCESで発表を行い、ToyotaとAmazonがこのプロジェクトを公式にサポートすることが明らかとなった。
ToyotaはAGLを2018年型Camryに使っており、プロジェクトにプラチナメンバーとして参加する。一方Amazonは、シルバーメンバーだ。今日はToyotaとAmazonのマッシュアップがほかにもあり、しかもそれは偶然ではないだろう。
AGLグループのそのほかの既存メンバーは、自動車メーカーではFord, Mazda, Honda, Subaru, Suzukiなど, サプライヤーではDenso, Panasonic, LGなど, そしてチップのメーカーはNvidia, Intel, ARMなどの大手だ。メンバー企業は合計で110社になる。最近NTT Dataが加盟したことによって、大手通信企業もいることになった。AGLグループの事務局長Dan Cauchyはこう語る: “今、多くの通信機器メーカーとも話し合っている。CiscoやEricssonsのような世界的企業だ。どの企業もコネクテッドカー*関連の何らかのグループに所属しており、全員がAGLには関心を持っている。〔*: connected car, インターネットに接続されている自動車〕
しかしこれまでAGLが主にフォーカスしていたのは、自動車のインフォテインメント方面だ。昨年その分野で大きな進歩を遂げたグループは最近、AGLディストリビューションのバージョン5.0をリリースした。
Toyotaの参加によってAGLは一層評価が高まり、Cauchyによると同社のサプライヤーに対するLinuxの布教効果も見込める。Cauchyは曰く、“これによってAGLのシステム寿命が長期的なものになった。少なく見積もってもあと20年は存続するだろう。しかもそうなると、なかなか抜けられないね”。
しかも今AGLは、インフォテインメント以外にも手を伸ばそうとしている。中でもホットな話題といえば、当然ながら自動運転だ。そしてそれを目指して、Linux Foundationのいくつかの基盤的部分とAGLの連合が形成されようとしている。
“インフォテインメントでもそうだったけど、自動運転技術についても共通のプラットホームが必要だ”、とCauchyは述べる。“各社がばらばらに車輪を再発明している現状は、馬鹿げている。むしろ、Linux Foundationがこれまでやってきたものを、うまく組み合わせるべきだ”。
そしてその筆頭が、リアルタイムLinuxだ。これはもうすぐLinux Kernelのコンパイルタイムオプションになる。AGLはそれに対してさらにセキュリティを厚くし、自動運転車をハッカーにやられないようにしたい。遠隔通信や地図関連の技術も重要だ。とくに地図データは、各社ばらばらでなく、全メーカーが共有できる形式であることがきわめて重要だ。地図の共通化は、AGLがメインの課題として追究している安全性の面でも欠かせない。
【後略】