今年のTechCrunch Disrupt SFで著名なiPhone/PlayStationハッカー、George Hotzは、自身が設立した自動車AIスタートアップComma.aiが初めて販売する製品を披露した。Comma Oneは、999ドルのアドオン装置で24ヵ月分のソフトウェア購読料がついてくる。出荷は年内の予定。Hotzいわく、これを使うとマウンテンビューからサンフランシスコまで、ハンドル、ブレーキ、アクセルに一度も触れることなく車を走らせることができる。
これはふつうの車を完全自動運転車に変えるためのキットではなく、Teslaのオートパイロットに相当する機能を、新たに車を買うことなく実現するシステムだ、とHotzは説明した。「マウンテンビューからサンフランシスコまでハンドルに触らずに行ける」とHotzは言った。発売時に対応するのは少数の特定車種のみだが、いずれもっと多くのモデルでも使えるようにしたいとCooma.aiは言っている。
Commaの重要な決め手は「出荷できること」であり、これは他の企業にない特徴だとHotzは強調する。自動車メーカーやスタートアップは自動運転車プロジェクトを好んで発表するが(実際今日も1件発表があった)、そういう企業のほとんどはハードウェアすらなく、消費者に売れるものを全く持っていない。
「これは完動品だ。Teslaのオートパイロットとほぼ同等だ。」とHotzは言った。Comma Oneは内蔵の前方レーダーとカメラを利用しているため、センサーの数は多くない。「最も重要なセンサーはカメラだ。ビデオデータも取り込んでおり、Teslaでさえこれはやっていない。ビデオデータは全部持っている。」とHotzは言った。
引き合いに出されるのは常にTeslaだ。同社のオートパイロットシステムは既に使われており、先週末にはアップデートが公開され、性能は大きく向上し、ブレーキをかけるべき時にかけない問題の可能性が減少した。「Teslaが自動運転車のiOSならうちはAndroidになりたいと思っている」とHotzは言った。
HotzはTeslaの死亡事故にも言及した。「毎年4万人の人たちが不注意のために亡くなっている。あれは『自動運転車に殺された』というような特殊なケースではなく、ドライバーが注意を怠ったケースだ。不運にもTeslaでそれが起きた。Teslaの対応は適切だったと思っている」とHotzは言った。
Hotzのシステムは、Mobileyeの衝突防止シスムのような多くの主要自動車メーカーが使用している機能に対する批判精神をきっかけに生まれた。Comma Oneの目的は、既存の適応型クルーズコントロールや車線アシスト以上に運転を自動化する機能を提供することにある。「Mobileyeが未来のソフトウェアを作ると期待しているなら ― やめた方がいい」とインタビューの中でHotzは言った。
999ドルという金額は、一般消費者にも求めやすい価格を目指したものであり、それが可能になったのはCommaが安価な定型部品を使っているためだ。「年内に出荷できるよう全力を尽くしている。ただし、数はごく限られていることを改めてお伝えする」とHotzは言った。販売の詳細については近々発表される予定。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)