自律走行技術のAuroraがリード・ホフマン氏の最新SPACとの合併に向けて最終交渉中か

複数の関係者によると、自律走行車技術をてがけるスタートアップ企業のAurora Innovation(オーロラ・イノベーション)は、Reinvent Technology Partners Y(リンベント・テクノロジー・パートナーズY)との合併に向けて最終的な合意に近づいているという。同社は、LinkedIn(リンクトイン)の共同創業者で投資家のReid Hoffman(リード・ホフマン)氏や、Zynga(ジンガ)の創業者Mark Pincus(マーク・ピンカス)氏、マネージングパートナーのMichael Thompson(マイケル・トンプソン)氏が起ち上げた最新の特別目的買収会社だ。

その障害となっていた問題の1つは目標とする評価額で、これまで200億ドル(約2兆1900億円)という高い金額が提示されていた。現在の評価額は120億ドル(約1兆3100億円)に近づいており、早ければ来週にも取引が発表される見込みだと、この件について話す権限がないため名前を伏せている複数の情報筋は述べている。

Auroraはコメントを控えており、Reinventもコメントを辞退した。

ホフマン氏、ピンカス氏、トンプソン氏の3人は「スケールの大きなベンチャーキャピタル」というコンセプトに強気の見通しを持っており、これまで3つのSPAC(ブランクチェック・カンパニー)を設立している。そのうち2つのSPACが、非公開企業との合併を発表した。Reinvent Technology Partnersは、2月に電動垂直離着陸機メーカーのJoby Aviation(ジョビー・アビエーション)との合併を発表し、2021年後半にニューヨーク証券取引所に上場を予定している。Reinvent Technology Partners Zは、住宅保険のスタートアップ企業であるHippo(ヒッポ)と合併した。

Reinvent Technology Partners Yとして知られる彼らの最新のSPACは、8500万株の新規公開株の価格を1株あたり10ドル(約1100円)とし、8億5000万ドル(約931億円)を調達した。このSPACは追加で1270万株を発行し、総売上高は9億7700万ドル(約1070億円)に達した。同社の株はNASDAQ証券取引所に上場されており、ティッカーシンボル「RTPYU」で取引されている。

Auroraはすでにホフマン氏との関係を持っている。2018年2月、AuroraはGreylock Partners(グレイロック・パートナーズ)とIndex Ventures(インデックス・ベンチャーズ)から9000万ドル(約98億6000万円)を調達した。Greylockのパートナーであるホフマン氏とIndex VenturesのMike Volpi(マイク・ヴォルピ)氏は、シリーズAラウンドの一環としてAuroraの取締役となった。Auroraは翌年、シリーズBラウンドで5億3000万ドル(約580億円)以上を調達。このラウンドはSequoia Capital(セコイア・キャピタル)が主導し、Amazon(アマゾン)やT. Rowe Price Associates(T.ロウ・プライス・アソシエイツ)をはじめ、Lightspeed Venture Partners(ライトスピード・ベンチャーズ・パートナーズ)、Geodesic(ジオデシック)、Shell Ventures(シェル・ベンチャーズ)、Reinvent Capital(リンベント・キャピタル)の他、以前からの投資家であるGreylockやIndex Venturesも参加した。

ホフマン氏とReinventのように、1つのSPACにおける双方の会社に関係しているというのは珍しいことだが、前例がないわけではない。例えば、T.J. Rodgers(T.J.ロジャース)が設立した特別買収目的会社は、同氏が2012年から取締役を務め、筆頭株主でもあるバッテリー技術会社のEnovix(エノビックス)との合併を2月に発表したことを、当時Bloomberg(ブルームバーグ)が報じている。今回の場合、ホフマン氏はAuroraの取締役ではあるが筆頭株主ではない。

2017年にSterling Anderson(スターリング・アンダーソン)氏、Drew Bagnell(ドリュー・バグネル)氏、Chris Urmson(クリス・アームソン)氏の3人によって設立されたAuroraは、野心的な1年を過ごしている。12月にはUber(ウーバー)の自動運転部門(Uber ATG)を買収することで同意し、合併後の企業価値が100億ドル(約1兆956億円)に達する複雑な契約を行った。

Uber ATGは、Toyota(トヨタ)やDENSO(デンソー)、SoftBank Vision Fund(ソフトバンク・ビジョン・ファン)から2019年に10億ドル(約1096億円)の投資を受けて72億5000万ドル(約7940億円)の評価額となったが、同社を買収するのにAuroraは現金を支払わなかった。代わりにUberがATGの持分を引き渡し、Auroraに4億ドルを投資した。この取引により、Uberは合併後の会社の26%の株式を取得した。ちなみに、米国証券取引委員会へ提出された書類によると、UberはUber ATGの86.2%(完全希薄化ベース)の株式を保有していた。Uber ATGの投資家は、全部で13.8%の株式を保有することになった。

買収から数カ月間でAuroraはUber ATGの従業員を統合し、現在は約1600人の従業員を抱えている。さらに最近、AuroraはVolvo(ボルボ)と北米向けに自律走行セミトラックを共同開発することで合意したと発表。ボルボの自律走行技術部門であるVolvo Autonomous Solutions(ボルボ・オートノマス・ソリューションズ)を通して数年間の継続が期待されるこのパートナーシップは、ボルボの顧客のために、ハブ間の高速道路で自律的に運行するトラックの開発と配備に焦点を当てている。

Auroraは規制当局に提出した書類の中で、2021年3月の新規株式公開で5490万ドル(約60億円)分の株を売却したことを明らかにした。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Aurora InnovationSPAC自動運転

画像クレジット:Aurora

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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