英国の独禁監視当局がフェイスブックのGIPHY買収を調査中

GIFの流動性に対する潜在的な脅威が英国の競争監視当局を悩ませ続けている。

2020年発表された、Facebook(フェイスブック)の4億ドル(約443億円)でのGIPHY(ジフィー)買収は現在、デジタル広告に関連する競争上の懸念があるとしてCMA(英国競争・市場庁)の徹底的な調査を受けている。CMAは調査して9月15日までに報告書をまとめる。

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当局は2020年夏この買収案件について調査に乗り出し、2021年になってもその調査は続いた。そして先週、CMAは(すでに完了した)FacebookとGIPHYの買収は、Facebookがすでに主要プレイヤーであるデジタル広告マーケットにおける競争をさらに抑制しうると述べ、懸念を示した(Facebookはディスプレイ広告マーケットで50%超のシェアを握っている)。

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当局は、買収の前にGIPHYが自社のデジタル広告提携を英国を含め他国に拡大する計画だったという証拠を見つけた、と述べた。

「もしGIPHYとFacebookが合併したままだったら、GIPHYはデジタル広告を拡大するインセンティブをさほど持たず、ひいてはこのマーケットにおける潜在的な競争の逸失につながる」との考えを文書で示した。

CMAはまた、ソーシャルメディアのライバルに害をもたらし得るFacebook所有のGIPHYが、他社へのアニメーションピクセルの供給を搾る、あるいはライバルにそれまでよりも悪条件でのサインアップ(ライバルにユーザーデータの提出を求めてそれらを広告ターゲティングエンジンに使い、さらにマーケットパワーを得るなど)を求めるテック大企業になることが懸念されると述べた。

現実感3月25日にGIPHYとFacebookは懸念を解消するため5日の猶予が当局から与えられた。懸念を和らげるための法的拘束力のある提案の提出だ。

綿密な調査を行う「第2段階」は、当局に受け入れられる譲歩がなされていたら回避できていただろう。しかし明らかにそうではなく、CMAは4月1日、第2段階の委託を発表した。最後の通知から作業日5日経って発表されたことから、譲歩はなかったようだ。

TechCrunchはFacebookとCMAにコメントを求めた。

Facebookの広報担当は次のように述べた。「当社は引き続きCMAの調査に全面的に協力します。この合併は競争にとって良いものであり、デベロッパーからサービスプロバイダー、コンテンツクリエイターに至るまで、GIPHYや当社のサービスを使う英国のすべての人の利益にかなうものです」。

FacebookはすでにGIPHYの買収を完了した一方で、CMAの調査によってFacebookが自社のビジネスにGIPHYを深く統合する作業は凍結が続いている。

とはいえ、Facebookのデジタル広告分野における独占的な立場を考えると、プロダクトイノベーションを通じてすばやく動くビジネスの必要性は過去数年よりもはるかに差し迫っている。過去においては、当局の干渉なしに市場での優位性を構築していた。

近年、CMAはデジタル広告マーケットに細心の注意を払ってきた。2019年には広告テックを独占しているGoogle(グーグル)とFacebookのパワーに関して重大な懸念を報告した。だが最終レポートの中でCMAは、マーケットパワーの不均衡そのものを解決するために介入するより、政府の法律制定を待つと述べた。

英国は現在、デジタルマーケットでみられる「勝者がすべてを得る」の力学に対する懸念への対応として、テック大企業に的を絞った競争促進の規制を専門とする機関を立ち上げる過程にある。設置されるDigital Market Unitは「数年内に新たなコンプライアンス要件を課されるインターネットプラットフォームのための「競争促進」体制を監督する。

一方、CMAは引き続きテック企業の取引や戦略の変更などを精査する。ここには、他の業者からの苦情を受けてこのほど調査を開始したGoogleのChromeでのサードパーティのCookieに対するサポート打ち切り計画も含まれる。

またCMAは2021年1月にUber(ウーバー)のAutocab(オートキャブ)買収計画も調査していると発表した。しかし3月29日に、両社の間にあるのは「限定間接」の競争だけで、Autocabが将来Uberにとってかなりの、そしてより直接的な競合相手になる可能性が高いことを示す証拠は見つからなかったとして買収取引を認めた。

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CMAはまた、AutocabとUberがタクシー会社に販売する予約と配車のソフトウェアの質を下げることで、Autocabの顧客であるタクシー会社を不利な状況に置こうとしているかどうかも考慮した。しかし第1段階の調査で、もしUberがそうした措置を取っても、タクシー企業は他の信頼できるソフトウェアサプライヤーと委託ネットワークに切り替えられることが明らかになり、これが買収取引を認めることにつながった。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookGIPHYイギリス買収独占禁止法CMA

画像クレジット:Muhammed Selim Korkutata/Anadolu Agency / Getty Images(Image has been modified

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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