英語学習アプリのELSAが約15.7億円を調達、日本などのアジア諸国やラテンアメリカでの事業拡大を目指す

新しい言語のスピーキングを学ぶのは難しい。定期的に練習する相手がいない場合は、特にそうだ。ELSAは音声認識技術を活用して発音を良くするのに役立つアプリだ。米国時間1月31日、サンフランシスコとホーチミンに拠点を置くELSAは、VI(Vietnam Investments)グループとSIGが主導するシリーズBで1500万ドル(約15億7000万円)を調達したと発表した。これまでにも投資していたGoogle(グーグル)のAIに特化したファンドであるGradient Ventures、SOSV、Monk’s Hill Venturesのほか、Endeavor CatalystとGlobant Venturesも参加した。

調達した資金はラテンアメリカ事業の拡大と、企業や教育機関がこのアプリのサービスを従業員や学生に提供するスケーラブルなB2Bプラットフォームの構築に使われる。ELSAは2015年に設立された。社名は「English Language Speech Assistant」の頭文字をとったものだ。同社は利用者が1300万人を超えていると公表している。前回の資金調達は2019年に発表されたシリーズAで700万ドル(約7億3000万円)だった。

ELSAはラテンアメリカ以外に、2020年に需要が多かったベトナムやインド、日本にも事業を拡大しようとしている。同社は最近、IELTS試験を運営しているIDPおよびBritish Councilと提携し、IDPとBritish CouncilIがELTSの試験対策としてELSAを推奨するようになった。ELSAはIMAPやSpeak Upなどのベトナムの語学スクール、オンライン学習プラットフォームのYOLA、Kimberly ClarkやIntel、ATADといった法人顧客とも提携している。

ELSAの共同創業者でCEOのVu Van(ヴ・ヴァン)氏はTechCrunchに対し、就職に生かし収入を増やすチャンスを得るために英語のスピーキングを上達させたいと思っている人は多いと語った。ベトナムやインド、ブラジルでは英語のスピーキングが上手な人は同僚に比べ2〜3倍の給与を得られると同氏はいう。

ヴァン氏は「このような動機があるため、ベトナムやインド、ブラジルで我々に対する英語学習者の需要が高まっています。新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が広がってからは、ラテンアメリカからも大きな関心が寄せられるようになりました」と付け加えた。

ELSAの英語の発音に関するフィードバック

ヴァン氏の出身国であるベトナムでは、英語学習者はオンラインやオフラインでの英語のトレーニングに可処分所得の多くを払っている。「しかし英語学習者の大半はスピーキングのスキルがなかなか上達しません。他人に通じなかったり、話す勇気がなかったりするのです」とヴァン氏はいう。ELSAは発音を学び、自信を持って英語を話せるようになるための利用しやすいリソースを提供することを目的に開発された。

英語の発音に特化したアプリには、ほかにFluentUやSay Itなどがある。ヴァン氏によれば、ELSAの強みは自社の音声認識AI技術だという。

同氏は次のように説明する。「我々のAI独自の特徴は、多くのユーザーからさまざまな発音の英語の音声データを大量に集め、このデータを使って数年にわたってAIモデルをトレーニングしてきたことです。これにより、世界中の非ネイティブの人が話す英語を高精度で認識し、理解できます。ほかの音声認識技術ではネイティブの人の英語は理解できても、非ネイティブで発音に癖のある学習者の英語はなかなか理解できません」。

ELSAでは単語ごとにフィードバックを返すだけでなく響きに関しても指摘することができ、発音を良くするための詳細な情報がユーザーに提供される。「イントネーション、リズム、流暢さといった極めて高度なスピーキングの韻律的な特徴に関して情報を提供できるので、ユーザーはもっと自然な英語を話せるようになります。これは競合他社では提供していないことです」とヴァン氏は述べた。

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タグ:ELSA語学学習資金調達ベトナム

画像クレジット:ELSA

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(文:Catherine Shu、翻訳:Kaori Koyama)

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TechCrunch Japan

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