スポーツコミュニティ向けサービスを展開するLink Sportsが、2015年12月にβ版を公開したチームマネジメントアプリ「TeamHub」を正式リリースした。iOS、Androidで利用可能だ。また、ベンチャーユナイテッド株式会社を引受先とした合計6000万円の第三者割り当てを実施したことも同時に発表した。同社は2014年2月にサムライインキュベートおよび個人投資家から合計650万円のシード資金を調達している。Link Sportsは今回調達した資金をもとにエンジニアの拡充を目指すと話している。
アマチュアチームならではの問題点
Link Sportsが正式リリースしたアプリ「TeamHub」は、草野球チームやフットサルクラブなど、アマチュア・スポーツチームの管理者の負担を劇的に減らしてくれるアプリだ。スコアの入力、練習試合などの日程調整や出欠確認、試合結果の共有などをすることができる。
アマチュアチームの運営は、まだアナログの部分が多い。世代がバラバラの人々で構成されるアマチュアチームでは、LineやFacebookなど一つのコミュニケーション・ツールで連絡を完結させるのは難しく、日程や出欠の連絡などはメールや電話で行い、スコアの入力はオリジナルのエクセルシートに入力していくというチームがほとんどなのだ。この問題点を解決するのが「TeamHub」だ。
「TeamHub」を利用するにあたって、チームの管理者以外のメンバーは必ずしもアプリをダウンロードする必要はない。アプリを通して管理者から送られる出欠確認などは、Eメールやフィーチャーフォン、いわゆる「ガラケー」のメールでも受け取ることができ、メールに記載されたリンクから参加表明ができる仕組みだ。
直感的に利用できるスコアの入力機能
また、スコア入力機能は幅広い世代でも簡単に利用できるように工夫されている。サッカーや野球など、スポーツの種目ごとに入力画面が用意されており、シンプルなデザインで直感的にスコアを入力することができるようになっている。現在スコア入力に対応しているのは「フットサル」と「サッカー」のみだが、年内に「ラクロス」、「ビーチサッカー」、「野球」を追加し、2017年には20種目に対応させることを目指す。
さらに同社は、入力されたスコア情報を元にチームや選手の強さを数値化する機能も開発中だ。Link Sports CEOの小泉氏は、「例えば野球チームであれば野球ゲームのように、チームや個人の能力を可視化できるようにしたいと考えています。そうすることで、その数値と位置情報を利用して練習試合相手のマッチングをすることも可能になります」と話す。アマチュアチームにとって、実力がある程度拮抗した試合相手を探すのは骨の折れる作業であり、この機能が実現すればチーム管理者の負担をさらに減らすことができる。この機能は来年度中にも導入する予定となっている。この他にも、チーム内のお金のやり取りをアプリ上で完結できる送金機能なども開発中だ。
アマチュアチームのマネジメントという市場の可能性
小泉氏によれば、アメリカでは2012年頃からアマチュアチームのマネジメントという分野が盛んになりつつある一方で、まだ日本では発展途上だという。「以前から、日本にもチームのマネジメントができるWEBサービスは存在していました。しかし、スマホファーストで、かつ多種目に対応したマネジメント・ツールを開発したのは当社が初めてです」と小泉氏は話す。市場規模については、「チームのマネジメント分野だけに絞ると、国内では約300億の市場規模。しかし、備品やスポーツ保険の購入費などを含めた”チームスポーツを楽しむ”という市場は約1.17兆円の市場になる。そこを狙っていきたい。また、アマチュアチームのマネジメントがまだ盛んではないアジア諸国への海外展開も今後目指していく」と話す。
小泉氏はかつて、甲子園を目指す野球少年だった。ところが、肩の故障により選手からチームの運営者へと転向することになる。そこで感じた問題点を解決するために生まれたのが「TeamHub」だ。昨年12月のβ版リリース以降、これまでに500チームが当アプリを利用している。同社はアプリ内の機能解放による課金などのマネタイズにより、月1.5億円の売上高を目指す。