衛星を利用したインターネットをめぐる闘いが激しさを増している。Teslaが何千もの衛星を利用したインターネットサービスを開始するための許可を米国政府に求めたと報じられてから約1週間後、そのライバルのOneWebが新たに12億ドルを調達したことを発表した。同社は2019年までにサービス開始を目指す。
今後数年間のうちに衛星インターネットを利用できる人は限られているだろうが、すでにこの分野には多額の資金が流れ込んでいる。OneWebはこれまでに、Airbus、Qualcomm、Virgin、Boeing、Coca Colaなどから5億ドルを調達している。今回の調達ラウンドをリードしたのは日本のソフトバンクで、同社からの出資金額は10億ドルだ。
今回調達した資金は、今年初めに発表されたフロリダにある衛星製造工場の「サポート」に利用される。このプロジェクトでは1週間に15機もの衛星を製造することを目指しており、その開発コストは「他社が衛星を製造するのにかかるコストの、何分の1にも満たないコスト」だとOneWebは話す。フロリダの製造工場が完成するのは2018年を予定しており、これにより今後4年間で3000人の雇用が創出されるという。
先日、ソフトバンクはアメリカに資金を投入して雇用を創出すると約束している。今回の出資によって同社はその約束を果たしたと言えるだろう。ドナルド・トランプ次期大統領との会見後、ソフトバンク CEOの孫正義氏は米国のスタートアップに500億ドルを投資し、アメリカ国内に5万人の雇用を創出すると約束しているのだ。その資金はソフトバンク本体から出資されるだけでなく、サウジアラビア政府が出資するPIFと共同で設立した1000億ドル規模のVision Fundを通して行なわれる予定だ。
「私は今月初めにトランプ次期大統領と会見し、アメリカへの投資と雇用の創出という私のコミットメントを共有しました」と孫氏は話す。「この出資はそのコミットメントの第一ステップです。アメリカは常にイノベーションとテクノロジー開発の中心地であり、当社が真のグローバル・エコシステムの創出に参加し、アメリカの成長に寄与できることを大変嬉しく思います」。
OneWebの長期的な目標は、衛星を利用して世界中に安価なインターネットを提供することだ。これにより、既存のインターネットがもつカバレッジを低いコストで広げることができ、現状のネットワークではカバーされていない国や地域でもインターネットを利用することができる。OneWebが掲げる高尚な目標は様々あるなかで、同社は2020年までにすべての学校へインターネットアクセスを提供することを目指している。また、OneWebのインターネットはIoTやコネクテッドカーなど、誕生したばかりのテクノロジーを普及させることにも役立つだろうと同社は話す。
OneWebの創業者兼会長のGreg Wylerは、同社のWebサイト上でこのように語る。「今回調達した資金、そして昨年に大きく進展した技術開発の進捗度を踏まえ、私たちがこれまでに掲げてきたものよりも大きな目標をここで発表したいと思います:当社は2027年までに情報格差をこの世から無くし、すべての人々に安価なインターネットアクセスを提供します」。
同社は2018年初めに10機の衛星を打ち上げてテストを行ったあと、その6ヶ月後には72機の低軌道衛星を打ち上げる予定だ。すべてが上手くいけば、2019年にはOneWebが提供する遅延の少ないインターネットが利用できるようになる。
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