インバウンド観光客および飲食店向けのグルメサービス「Japan Foodie」を運営する日本美食は6月20日、第三者割当増資により総額1.3億円の資金調達を実施したことを発表した。
引受先は、イノベーション研究所 代表取締役社長の西岡郁夫氏、MSキャピタル パートナーの袁小航氏、個人投資家の千葉功太郎氏、ピー・アンド・イー・ディレクションズ 代表取締役社長の島田直樹氏、ヤフー執行役員の田中祐介氏のほか、レジェンド・パートナーズだ。
訪日外国人観光客、飲食店の課題を解消するサービス
Japan Foodieは、訪日外国人観光客および飲食店向けのグルメサービス。厳選された日本国内の飲食店を紹介する「メディア機能」、予約と事前決済が行える「予約機能」、QRコード方式かつ9種類のスマホ決済に対応する「スマホ決済機能」という3つの機能を保有している。これにより、訪日外国人観光客と飲食店の双方が抱える悩みを解決するという。
両者が抱える悩みとは一体何か——日本美食 代表取締役のLu Dong(董路)氏はこう語る。
「日本には美味しい飲食店がたくさんあり、訪日外国人観光客の多くは“日本食”を食べることを楽しみにしています。しかし、どのお店に行けばいいのか、何を食べればいいのか、全然分からない。『食べログ』や『ぐるなび』など日本人向けのグルメサービスはありますが、訪日外国人観光客向けのものはなく、予約も取りにくい。また中国はキャッシュレス、カードレスの社会が進み、スマホ決済が当たり前となっていますが、日本はまだ現金主義。決済方法が非常に少ないです」(Dong氏)
Dong氏自身、日本国内の飲食店に対して課題を感じる一方、飲食店側も訪日外国人観光客の「No Show(いわゆる無断でのバックレ、連絡なしで来店しないケースだ)率」が高い、という課題を持っていた。そこで、Dong氏はこのスキームを考えた。
訪日外国人観光客に対して、東京カレンダー創刊チームが厳選した飲食店情報を提供するほか、事前にスマホ決済による予約を行えるようにする。飲食店側には事前に許可をとった上でJapan Foodieに掲載し、システムを導入してもらう。これによって、訪日外国人観光客が感じる課題を解決するだけでなく、飲食店側のNo Show率も低下させる。実際、Japan Foodie経由での予約者のNo Show率は0パーセントだという。
また、飲食店側は新規集客を行えるだけでなく、スマホ決済にも対応できるようになる。
成果報酬型の送客手数料でマネタイズ
サービス開始から約半年で、提携先も含めて日本全国8000店舗(日本美食が直接契約しているのは360店舗)以上の飲食店に利用されているJapan Foodie。飲食店をリストアップし、掲載する前に営業をかけているそうだが、なぜ、ここまで利用店舗を増やせているのか。Lu Dong氏によれば、リスクが一切ないところが好評だという。
「Japan Foodieはユーザーはもちろん無料で使えますが、飲食店側も初期費用は一切かかりません。初期費用をかけずにスマホ決済のシステムを導入することができます」(Lu Dong氏)
飲食店側は成果報酬型で送客手数料を日本美食に支払うだけでいい。この手軽さにより、飲食店側の導入も進んでいるそうだ。今後は調達した資金をもとに、新機能の開発やサービス改善、人員の増強に充てる予定だという。