2017年に創業しアリゾナに拠点を置くAiraは、そのテクノロジーを証明する時間を無駄にしなかった。TechCrunchでは同社のワイヤレス充電について何度か記事にした。例えば同社の「FreePower」テクノロジーはNomadの充電パッドに搭載され、Appleが開発を中止したAirPowerをさらに使いやすくした製品になった。このテクノロジーのおかげでユーザーは最大3つのデバイスを同時に充電できる。しかも時間をかけてパッド上の正確な位置にデバイスを置く必要はない。
米国時間8月3日、Airaはシードラウンドで1200万ドル(約13億1000万円)を調達したと発表した。このラウンドは、主にJawad Ashan(ジャワド・アシャン)氏、Lori Greiner(ロリー・グライナー)氏、Robert Herjavec(ロバート・ハージャベック)氏などの個人投資家がリードした。同社はこの資金で、コンシューマー向けデバイス充電を拡大し、企業や自動車、宿泊業などへも進出する他、充電テクノロジーのバージョン2.0も登場させる予定だ。
Airaの共同創業者でCEOのJake Slatnick(ジェイク・スラトニック)氏は発表の中で「この新しい資金調達ラウンドはイノベーションに向けて我々の力を加速させるゲームチェンジャーです。我々のパイプラインには多くのパートナーシップがあり、FreePowerのバージョン2.0はもう目前で、ジャワドが経営陣に加わった状況であることから、これはAiraにとっての転換点です」と述べた。
2020年12月の記事でお伝えしたように、Airaはすでに自動車には進出している。このとき同社は、車両パーツサプライヤー大手で今回のラウンドにも参加しているMothersonからの投資を発表した。2020年12月の投資は、Airaが同社のワイヤレスモジュールを自動車に統合しようとする方向性を明確に示すものだった。多くの自動車メーカーはコンシューマー向け機器に対応した装置を備えていないため、これは歓迎すべきことだった。
AiraもMothersonもその時点で、そして現在も、自動車に関して具体的なパートナーを発表していない。しかしAiraは、同社とMothersonが協力して自動車向けFreePowerモジュールを開発していると述べている。
米国時間8月3日の発表の中でAiraは「現在のワイヤレス充電テクノロジーは移動する環境で使うようには作られていないため、消費者も自動車メーカーも関心を持っていません。これに対してFreePowerを使った車内用充電パッドは、運転中のデバイスのずれ、複数デバイスの充電、あらゆるサイズのパッド、ファームウェアのアップデートによる将来的な機能の拡張や互換性の確保に対応します。安全性と規制の厳しい基準を守りつつハイパワー充電も可能です」と述べた。
今回の発表で、AxonのCFOであるジャワド・アシャン氏がAiraの経営陣に加わったことも判明した。
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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Aira、ワイヤレス充電、自動車、資金調達、Motherson、充電器
画像クレジット:Aira
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(文:Brian Heater、翻訳:Kaori Koyama)