遠隔医療のK Healthが約137億円調達、バーチャル保育サービスに進出

膨大な健康アセスメントを利用し、機械学習で医療コストを低減するバーチャル医療企業K Health(ケイ・ヘルス)は、15億ドル(約1560億円)という評価額で行った資金調達を元手に育児のための新しいツールをローンチした。

2020年12月に1億3200万ドル(約137億円)を調達した同社は、規模の拡大と、第2四半期までの導入を予定していた高度な電子カルテへのアップグレードのための資金を手に入れている。

2020年、K Healthは、機械学習と一般医療との橋渡し役としての立場を活用し、たった1年で2億2200万ドル(約230億円)を調達した。

今回の積極的な投資からわかるのは、テクノロジーでより安価な医療を提供しようと各社が目指す一般医療を、投資家たちがいかに大きな機会と見ているかだ。

K Healthが提供するのは、月9ドル(約940円)で同プラットフォームでのサービスと医師の診察が無制限で利用できるサブスクリプションだ。さらに月19ドル(約2000円)の精神疾患バーチャル治療や、1回19ドルで受けられる緊急医療相談サービスもある。

患者と投資家が魅力に感じるのは、K Healthがイスラエルの健康維持期間Maccabi Healthcare Services(マッカビ医療サービス)との提携で入手できたデータだ。これは数十年分の患者と健康アウトカムに関する匿名データで、K Health独自の予測アルゴリズムのトレーニングに用いられている。それが、患者の状態の評価や同社所属医師の診断に役立てられる。

理論的に、そのデータによって同社のサービスはバーチャルかかりつけ医師として機能できるようになる。つまり、患者の豊富な医療情報を保有することで、根底にある病状の早期発見や、総合的な視点での治療が可能になるということだ。

製薬会社には、そのデータは収益性の高い創薬の方向性を示す公衆衛生の深い見識をもたらしてくれる。

実際、患者は金を支払っただけのものが得られる。

また同社の精神疾患ケアは、評価や判断を行う資格を持たない医師によって行われるという、同プラットフォームでサービスを提供する人物もいる。つまり、意見不足の医師に当たる可能性があるわけで、病状が改善するどころか悪くなる心配がある。

同社の最高責任者Allon Bloch(アーロン・ブロック)氏の、ほとんどのサービスはリモートで可能だとする評価はおおむね正しい(ブロック氏は90%と見積もっている)が、それは必要な訓練を受けたプロによるリモートサービスであるべきだ。

アルゴリズムにできること、またジェネラリストが医療でやれることには限界がある。K Healthは、その限界を押し上げたいと考えているようだ。

「薬の照会、急性期対応、予防のほとんどがリモートで行えます」とブロック氏。「もっとうまく、もっと安くできる可能性があります」。

K Healthではすでに、緊急治療とサブスクリプションサービスの両方で数万人の患者に対応し、2020年には数千万ドル(数十億円)の利益を上げているとブロック氏は話す。サブスクリプションの利用者と比べて緊急治療サービスを受けた患者がどれだけいたかについては、ブロック氏は公表を控えた。

リモートでサービスを提供する他の業種と同じく、テレメディシン企業もこのパンデミックの間に繁盛している。バーチャル医療の先駆者であるTeladoc(テラドク)とAmwell(アムウェル)の株価も高騰した。

K Healthの支援者は、GGV CapitalとValor Equity Partnersが率いる投資家グループだ。Kaiser Permanenteの年金基金、Burger King(バーガーキング)とKraft Heinz(クラフト・ハインツ)を所有するブラジルの投資会社3G Capital、14W、Max Ventures、Pico Partners、Marcy Venture Partners、Primary Venture Partners、BoxGroupも今回のラウンドに参加した。

同社に協力している団体には、Maccabi Healthcare(マッカビ医療サービス)の他に、同社とバーチャル医療モデルの研究を行っている総合病院Mayo Clinic(メイヨー・クリニック)、K Healthのサービスをホワイトラベルで多くの保険加入者に提供している健康保険大手Anthem(アンセム)がある。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:K Health遠隔医療資金調達

画像クレジット:Busakorn Pongparnit / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

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TechCrunch Japan

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