世界最小の宇宙船の実動プロトタイプが先月、周回軌道に乗った。それはOHB Systemが運行するMax ValierとVenta衛星に相乗りする形で、Indian Space Research Organization(ISRO)により軌道上に打ち上げられた。
この小さな‘Sprite’宇宙船はBreakthrough Starshotのプロジェクトとして作られ、2011年にKickstaterで資金を募集した。大きさは3.5cm×3.5cm、重量は4グラムだが、動力源(ソーラーパネル)とコンピューティングの部位、センサー、そして無線通信装置がある。
このちっぽけな宇宙航空機Spriteは、さらに小さなワンチップ宇宙船の研究開発の初期的段階だ。これまでのテスト結果は良好で、カリフォルニアとニューヨークにある地上局とメッセージを通信できた。また、アマチュア無線愛好家たちが、Spriteが頭上を通過するとき信号を捉えることができた。
なぜこんなに小さな宇宙船を作るのか? 実はBreakthrough Starshotは、光の力で、光速の20%の速度で航行する宇宙船が可能であることを、実証しようとしている。そしてそれを、プロキシマ・ケンタウリbのような、ケンタウルス座α星系の惑星群の、撮影可能な範囲内に定置させたい、としている(上図)。
それは、実現可能な宇宙航行方法の一つとして、Liu Cixinの硬派SF三部作The Remembrance of Earth’s Pastに詳述されている。ぼくがその理論を初めて知ったのもこの本からだ。この夏、ひまを持て余しそうな人には、一読をお勧めしたい。