野菜のように、顔の見える生産者から電気を買う「みんな電力」が11.8億円調達

「顔の見える電力プラットフォーム」を提供するみんな電力は1月21日、シリーズBラウンドにおいてTBSイノベーション・パートナーズ、SBIインベストメント、TOKAIホールディングス、セガサミーホールディングス、丸井グループ、電通から11億8000万円を調達したと発表した。

みんな電力は電力小売業を営むスタートアップ。でも、普通の電力小売とはちょっと違う方法で電気を販売している。最近、道の駅や一部のスーパーなどでは野菜を作った人の顔が見えるように、農家の人々のプロフィールが入ったポップアップが売り場に用意されていることがある。みんな電力は、それと同じように、電気を発電した人の顔が見ることができ、その発電所を「応援」することが可能なプラットフォームだ。

みんな電力のWebページにいくと、電気の生産者の一覧ページがある。そこに掲載された発電所のプロフィールページでは、どんなひとが、どこで、どれくらいの電気を発電しているのかが分かる。みんな電力と契約して電気を買うユーザーがその中から応援したい発電所を選ぶと、電気料金の一部がその発電所に寄付される仕組みだ。みんな電力に供給される電気の約75%以上は、太陽光発電などの再生可能エネルギー電源で発電され、固定価格買取制度(FIT)を通して事業者に販売された「FIT電気」だ。だから、ユーザーはみんな電力を通して再生可能エネルギーの普及にも協力することにもなるというわけだ。

みんな電力は今回調達した資金を利用して、ブロックチェーン技術を用いたP2P電力流通プラットフォーム「ENECTION2.0」の商用化を進める。

固定価格買取制度は、個人などが再生可能エネルギー電源で発電した電気を一定期間のあいだは電力会社が固定価格で買い取ることを国が保証するという制度だ。しかし、みんな電力によれば、しかし前身となる「余剰電力買取制度」ができてから10年が経過した今年、2019年11月にはその買い取り期間が終了する電源が50万件以上発生する見通しだ。そうなれば、個人が電気の生産者にもなり、自由契約で電気を売ることが可能な時代になる。みんな電力はその時代に併せてENECTION2.0を拡大することで「誰でも再生可能エネルギーを作り、シェアできる社会」を目指すという。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。