量子コンピューティングAWS Braketが量子 / 古典ハイブリッドアルゴリズムのサポートを強化

AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)は2019年に、パートナーであるRigetti(リゲッティ)、IonQ(イオンキュー)、D-Wave(ディーウェーブ)のハードウェアとソフトウェアのツールを自社のクラウドで利用できるようにする量子コンピューティングサービス「Braket(ブラケット)」を開始した。量子コンピューティングの世界がいかに早く進んでいるかを考えると、それから多くのことが変化しているのも当然かもしれない。

とりわけ、古典的なコンピューターを使って量子アルゴリズムを最適化するハイブリッドアルゴリズム(機械学習モデルのトレーニングに似たプロセス)は、開発者にとって標準的なツールとなっている。AWSは米国時間11月29日、このようなハイブリッドアルゴリズムをBraket上で実行するためのサポートの改善を発表した

これまで開発者は、ハイブリッドアルゴリズムを実行するために、古典的なマシン上で最適化アルゴリズムを実行するためのインフラを設定・管理し、それから量子コンピューティングハードウェアとの統合を管理しなければならず、加えて、結果を分析するための監視・可視化ツールも必要だった。

画像クレジット:AWS

しかし、それですべてではない。「もう1つの大きな課題は、(量子処理ユニットは)共有された非弾力的なリソースであり、アクセスのためには他の人と競合するということです」と、AWSのDanilo Poccia(ダニロ・ポッチア)氏は、この日の発表で説明している。「これは、アルゴリズムの実行を遅らせる可能性があります。他の顧客の大規模なワークロードが1つでもあれば、アルゴリズムが停止し、総実行時間が何時間も延びる可能性があります。これは不便なだけでなく、結果の質にも影響します。というのも、現在のQPUは定期的な再キャリブレーションが必要であり、それがハイブリッドアルゴリズムの進捗を無効にする可能性があるからです。最悪の場合、アルゴリズムが失敗し、予算と時間が無駄になります」。

新たに提供される「Amazon Braket Hybrid Jobs(アマゾン・ブラケット・ハイブリッド・ジョブズ)」機能では、開発者が古典的マシンと量子マシンの間のハードウェアおよびソフトウェアの相互作用を処理する完全なマネージドサービスを利用できる。また、開発者は量子処理ユニットへの優先的なアクセス権を得られ、より高い予測性を取得できるようになる。Braketは、必要なリソースを自動的に立ち上げる(ジョブが完了するとシャットダウンする)。開発者は、アルゴリズムにカスタムメトリクスを設定することができ、Amazon CloudWatch(アマゾン・クラウドウォッチ)を使って、ほぼリアルタイムで結果を可視化することができる。

「Braket Hybrid Jobsは、私たちアプリケーション開発者に、ハイブリッド変分アルゴリズムの可能性を顧客とともに探求する機会を与えてくれます」と、QCWare(QCウェア)のエンジニアリング責任者であるVic Putz(ヴィック・パッツ)氏は語っている。「私たちは、Amazon Braketとの統合を拡大できることに興奮しています。独自のアルゴリズムライブラリをカスタムコンテナで実行できるということは、安全な環境で迅速に革新を起こせることを意味しています。Amazon Braketの成熟した運用と、さまざまなタイプの量子ハードウェアへ優先的にアクセスできる利便性は、我々が自信を持ってこの新しい機能を我々のスタックに組み込めることを意味します」。

画像クレジット:krblokhin / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

投稿者:

TechCrunch Japan

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