電動スクーターシェアのSpinが欧州に進出、まずはドイツからスタート

Spin(スピン)はドイツでスクーターシェアリング事業を開始した。米国企業のSpinにとって、欧州に進出する最初のステップとなる。

2018年に約1億ドル(約107億円)でFord(フォード)に買収されたSpinはドイツのケルンでサービスを開始し、数週間以内にドルトムントやエッセンでも展開する計画だ。Spinによると、米国でもサービス展開都市を拡大していて、まずはアトランタから開始する。同社は詳細を明らかにしなかったが、その他の都市でも展開される予定だ。

Spinの欧州進出は、新型コロナウイルス(COVID-19)が経済に大打撃を与える前の今年初めから計画されてきた。2020年初め、電動スクーター企業にとって欧州は格好の夏季サービス競争地にみえた。LimeやBird、Circ、スウェーデンのスタートアップVoi、そしてドイツのスタートアップTierを含む欧州、米国拠点の企業はマーケットシェアを争っていた。Voiは欧州40都市でサービスを展開し、Tierは56都市に拡大していた。アムステルダム拠点のDottも参戦してた。そうした中でSpinは今年2月に欧州進出を発表した。

その後すぐに欧州と北米で新型コロナウイルスの感染が拡大し、マイクロモビリティにブレーキがかかった。パンデミックにより多くのスクーターやバイクのシェアリング企業がサービスの一時停止、あるいは撤退すら余儀なくされた。

電動スクーターのスタートアップはいま、欧州に戻りつつある。欧州は米国よりも電動スクーターが浸透していて、経済性もいい。

Spinはまずはドイツの一部で開始する。というのも、最近同社とYouGovが実施した調査で、電動スクーターがドイツで人気の交通手段になりそうであることが示されたからだ。ドイツで行われた調査の対象者の50%近くが通勤や近所へのちょっとした移動の手段として1人乗りの乗り物をすでに使用しているか、使用する計画だと回答した。

「混んでいない環境で通勤する必要性が高まるにつれ、マイクロモビリティが世界中でかなり受け入れられている」とCEOで共同創業者のDerrick Ko(デリック・コー)氏は声明で述べた。

Spinはドイツ以外にも進出する計画だと述べた。同社はフランスのリヨンとパリでの営業許可を申請し、バーミンガムやリバプール、ロンドン、マンチェスターといったいくつかの英国の都市での電動スクーターレンタル試験プログラムの提案書を提出した。

同社は許可されていた米国のいくつかの都市でオペレーションを続け、新型コロナウイルスのパンデミック中はヘルスケアワーカーに無料乗車を提供した。そして今月、14都市でサービスを再開し、現在は25都市で展開している。

「Spinスクーターはレジャー活動のためというより、ユーティリティとしてこれまで以上に使用されている」と会長で共同創業者のEuwyn Poon (エオウィン・プーン)氏は声明で指摘した。「公共交通機関はサービスをカットしていて、Spinはそこをサポートしようとしている」

プーン氏によると、4月以降、新規デイリーアクティブユーザーは毎週平均34%増えている。スクーター使用時間も44%増え、5月には1回あたり24分と過去最高を記録した。

画像クレジット: Spin

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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